2016年12月27日

平成28年度第26回全国女性建築士連絡協議会(奈良大会) 参加報告     杉原 尚子

 2016722日、23日の2日間、奈良で第26回全国女性 建築士連絡協議会が開催された。久しぶりに東京ではない場所での開催で、愛知から7名が参加した。とても暑い日だった。1日目の会場となった奈良女子大学へは、近鉄奈良駅から近いとはいえ、汗をかきながら歩いた。初めて訪れたが、正門も、校舎も、講堂も伝統ある大学の雰囲気が漂っていた。ゆっくり建物見学ができなかったのが残念だ。

 基調講演では、岐阜大学名誉教授の渡辺先生から、「日本の暮らし豊かな生活文化の再発見」というテーマでお話を伺った。@和室には学ぶべき知恵が詰まっている。800年かけて変化し、床の間や書院、違い棚などのビルドインが進んで今の和室があること。A床(ゆか)に対する考えも世界的に注目されてもいるし変化している。変化を否定せず、柔軟に対応することで次世代の住宅像も見えてくる。畳にスリッパもありだ。B「古い技術」と同時に「新しい手法」の準 備も必要。など、とても勉強になるお話だった。

その後のパネ ルセッションでは、和室のある暮らしを経験したことのない、奈良女子大学大学院の臼田さんの和室に対する考えがとても新鮮だった。被災地の現状報告では、茨城の鬼怒川氾濫被災状況や熊本地震後の最新状況を知ることができた。

交流会は、日航ホテル奈良に場所を移し行われた。今回は東京建築士会のお二人とも宿泊先が一緒ということで様々な意見交換ができ、とても有意義な時間となった。

 2日目はB分科会「エネルギーと暮らし」に参加した。発表者は京都建築士会の豊田保之さん、西田教子さんのお2人。豊田さんからは事例報告を通じて、自然の暮らしを楽しみながら省エネをする方法を、西田さんには小学生向けの取り組みについて発表いただいた。発表後のグループ討議では、それぞれの地域での省エネ対策への悩みや、竣工後の光熱費等の状況把握の重要性についてなどの話が出て、今後もエネルギーと暮らしについて考えていく必要性が確認された。

午後からのエクスカーションは天理市へ向かい、三輪そうめん山本本社(竹中工務店)、大神神社、石上神宮などを見学した。天理市には初めて入ったが、信者詰所や病院など市内中心部にはRC造で瓦屋根という建物が並び、独特な町並みをつくっていた。足早の見学だったので、次回もう少し涼しい時期にゆっくり訪れたい。

 今回も内容の濃い2日間だった。すでに今から来年の東京での開催を楽しみにしている。

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●会場の奈良女子大学で記念撮影           ●大会講評
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●B分科会「エネルギーと暮らし」 ●全国委員長会議      
 


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平成28年度講習会『認知症のための住宅改修と介護保険制度』の報告          大崎 友記子

 女性委員会主催の『認知症のための住宅改修と介護保 険制度』の講習会が、830日に愛知建築士会の第2・3会 議室で開催されました。講師は会員でもあり、福祉について広い見識を持つ内藤恵子さん(設計室ないとう、NPO法人 いきいき住宅リフォーム支援機構愛知理事)と竹中美智子さん(社会福祉士、DEN代表取締役)のお二人が担当してくださいました。超高齢社会を迎え介護生活は誰にでも起こりうる現在、参加者40名余りの内8名は会員外の方で、関心の高さがうかがえる講習会でした。

 内藤さんからは、認知高齢者を在宅介護するための住宅改修事例を紹介していただきました。施主は、実の娘であり、医療・福祉の専門家でもあるとのことで、高齢者本人のそれまでの暮らしや環境、人間関係、性格や趣味などは把握されており、改修計画もスムーズに行われたそうです。実際に生活が始まってみると、以前の住宅より室内での移動距離が増え、体力の向上がみられた。娘家族との同居で、孫のパジャマをたたむことが嬉しく、きちんと洗濯物がたためるようになった。ベッドに座ると目に入る位置に仏壇を置いたところ、お参りの習慣が復活したなど、嬉しい変化がみられたそうです。しかし一方で、センサー付きの照明は、自動的に明りがつくことに理解ができず、また蛍スイッチなど必要のないランプ がついていることは「もったいない」と言われ、慣れるまでに時間がかかったとのこと。

 「生きてきたように老いていく」この言葉が今回内藤さんの講演タイトルでした。認知症になっても、その人の人柄や今までの生き方が行動に現れるそうです。だからこそ、その人を理解するために生い立ちや性格、人間関係、周辺環境を把握することは大切なことだと話されました。他にも、自立しようとする意欲(=嬉しいこと楽しいことを引き出す)につながる空間づくり、自分でできることを増やす環境づくり、本人だけではなく家族の満足にもつながる暮らし(先のことを見越すより現在 の暮らしに対応する)など、建築で何ができるのか?といつも模索されながら、設計と向き合ってみえるお話を伺いました。 

 社会福祉士としても活躍されている竹中さんからは、介護保険制度の概要と動向について、また介護保険の申請や保険内の住宅改修ポイント、各市町村の独自サービス等、経験を踏まえたお話を聞かせていただきました。そして建築士の目線から、福祉用具や特定福祉用具を上手に併用することで空間が使いやすくなり、費用的にも構造的にも無理のない住宅改修ができる例も紹介していただきました。しかし、地域包括ケアシステムへの構築が進む中、生活の基盤として必要な住まいの整備、本人や家族の希望に叶った住まい方を支援するには、福祉・医療分野の専門職と建築士がチームを組むことの大切さを実感されているそうです。その人の生活全般の課題を理解し、できないことを補うだけではなく生活の質を向上させる支援ができる建築士の役割は大きいと、話されました。

 今後この講習会が、建築士だけではなく医療・福祉に携わっている方、介護をされている方などの意見や情報交換の場となり、多分野の方々が連携して、高齢者・障がい者の在宅生活を支援する住居改善に役立つ場となることを期待しています。
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2016年08月27日

東海北陸ブロック会 女性建築士協議会 平成27年度前期定例(愛知)会議報告 池田 園子

 東海北陸ブロック会 女性建築士協議会 平成28年度前期定例(愛知)会議が、平成28年6月25日、愛知建築士会会議室にて行われました。前年度の後期会議に引き続き愛知県開催という事でしたが、後期での経験を活かしてスムーズに準備をする事ができました。

 会議では各県の今年度の事業計画の発表があり、福井県の何年も続けてみえる住居教育活動、石川県のお茶室体験、岐阜県の収納や税の研修会、富山県のお仕事報告会、三重県の介護の体験談を報告する会など、各県とも個性的で、限られた時間と予算の中で工夫しながら意欲的に活動に取り組んでいる様子が伝わってきました。会議後半では、長いこと見直しがされていなかった規約について、現在の活動に合わせた内容となる様、修正の提案がなされ、承認されました。


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その後、希望者はテレビ塔の見学のため地下鉄で移動となりましたが、その移動時間は交流の場となり、今後予定している他県への研修見学会について、地元の人としてのアドバイスを交換し合う貴重な時間となりました。

テレビ塔見学ではテレビ塔()の担当者にバックヤードも案内して頂き、タワーのない県からいらしたタワーマニアの方にも喜んで頂けた様です。4月のオリエンテーションで予習済みの愛知のスタッフが、建築に携わる者の視線での面白ポイントを解説することができ、開催県として楽しいおもてなしができたのではと思っています。

前回の後期会議・今回の前期会議と愛知県開催が続きましたが、なかなか他県の会議へは参加が難しい委員も会議に参加することができる良い機会だったと思います。

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2016年07月16日

平成28年度女性委員会オリエンテーションの報告        河合ふみこ

 平成28度のオリエンテーションは、423()に名古屋テレビ塔(2階会議室)にて行われました。室内は二面ガラス張りで、久屋大通公園の新緑がやさしく目に入り、新しい委員や生後3か月の赤ちゃんも参加をしてくれましたので、始終、明るく和んだ雰囲気に包まれていました。会議では、事前アンケートをもとに、今年度の予定事業内容について話し合い、研修会などを毎月開催できるほどのたくさんのいい意見が集まり、出席委員のみなさんもやってみたいことが数多くあるようでした。充実した女性委員会の活動になりそうです。

 オリエンテーションの後の懇親会は、テレビ塔を上空から眺められる近くの中華料理店で行われました。自己紹介に始まり、おいしい料理を頂き、最近はまっていることの発表もありました。みなさんお忙しい中でも、時間を見つけて何かいろいろなことをしているんだなぁと感心しました。私自身は特に思い出すことができず、もう少し余裕を持って生活したいなぁと反省してしました。委員会の大先輩や委員外の女性会員も参加され、興味深いお話を聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。

 おいしい料理を食べた後はテレビ塔に戻り、登録文化財としての見学会のスタートです。普段は見られない地下機械室やNHK等の旧アナログ放送室を見せて頂けるということで、とても楽しみにしていました。テレビ塔()常務に解説と案内をして頂きました。テレビ塔の歴史、現在の耐震性や改修に伴い工作物から建築物になる等、道路・都市公園上の立地も含め、ソフト・ハードの様々な問題があることなどをわかりやすく説明して頂きました。地下室に建設当初からある非常用電源はまだ現役でした。テレビ塔の使用鋼材も古くても強度が高いそうで、シンプルなしみ・組成の耐用年数の長さにも魅せられました。

 以前、私はテレビ塔の見える家に住んでいました。テレビ塔にはとても親しみがあり、無くなってほしくない工作物・建築物です。当日は、地上でアイドルのイベントが開かれ、4階のレストランでは結婚式が行われていました。これからもテレビ塔が親しまれ、活用され続けていくことを願います。そして、改めて、女性委員会も私も、「まち」にとっての親しみのある存在でありたいなぁと、つくづく感じさせられました。

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2016年05月10日

わたしらしい住まいづくりセミナー                                                  「つながりを生み出す家と街〜第四の消費時代から考える〜」報告       近藤万記子

 「ソーシャル・アーキテクト」とは何だろう?


そんなことを考えていた時に、このセミナーの企画が女性委員会から持ち上がった。社会デザイン研究者の三浦展氏の話を聞き、我々建築士のこれからのヒントになればという主旨で企画が進んでいた。三浦氏の著書タイトルをみれば「これから日本のためにシェアの話をしよう」「東京は郊外からきえていく」「日本人はこれから何を買うのか?」「第四の消費」「下流社会」…。ソーシャルとアーキテクトのこれからを考えていた私にとっても渡りに船だった。


 当日も盛況のうちにセミナーが始まった。高齢化社会になるから未来はただ不安と思っていっていたら大間違い。1人の若者が3人の高齢者を支える超福祉社会ではなく、3人の高齢者が1人の若者を支えるシェア社会が目前なのだという。74歳まで働く社会となれば、高齢化社会でもソフトランディングできると三浦氏に提示されても、内心は勘弁してほしいと思う。しかし人口構成は変わるはずなければ、これが現実化していくのだろう。


 世代間のシェアもあるが、根本的に私有しなくてもいいものはシェアで済ませるという「第四の消費社会」にすでに時代は突入しているようだ。三浦氏によると、マイホーム一戸建てにみられる私有消費から時間、空間、モノ、コトをシェアする場所をつくることが、これからの消費社会への対応になるということだ。ではどうすればいいのか。具体例も紹介していただいた。

 8件ほどの実例紹介のうち、空室がちな64戸をシェアハウスみたいに仕様変更して人気物件にした例「メゾン青樹ロイヤルアネックス」と、テレビなどでも度々紹介される「Share金沢」が魅力的だった。Share金沢はサービス付き高齢者住宅、福祉入所施設、天然温泉、飲食店、美大大学生の部屋等々が気持ちよく配置された街(11000坪の敷地)で ここの住民だけでなく地域住民もまきこんだ街づくりと地域コミュニティが生まれていた。まさにソーシャル・アーキテクトの仕事の理想形だ。


 前述の紹介事例を目指すわけではないが、私たちの問題意識よりもはやく現実のニーズの方があり、かつ成功実現していることに勇気をもらった。セミナーを聞いて解答を得るわけではないが、問題意識と自覚はさらに強くなり(意識をシェアできたということで)、有意義なセミナーだったと思う。


 女性委員会ではこのようなセミナーと建築作品展示・活動展示、相談会活動を毎年行い、今年で第25回となった。25回分のイベントを振り返る展示もあり、委員会がいかに時代のニーズと真摯に向き合って、企画をしてきたかもよくわかった。今回のテーマがそうだったように。今後の女性委員会の活動も楽しみになった。


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