2020年04月01日

わたしらしい住まいづくりセミナー「なぜ今、リノベーションを考えるのか」報告 佐藤直子

 令和2年2月1日、第29回わたしらしい住まいづくりのセミナーに、ブルースタジオの大島芳彦先生をお迎えしました。

 タイトルは「なぜ今、リノベーションを考えるのか」

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 日本は空き家の活用ができていません。日本に‘空き家は資本’という考え方はなく、500兆円の経済損失と言われています。
新築を建てた瞬間から価値はどんどん下がっていく…。
 中古住宅の流通が健全な米国はそういった損失はないのです。我が国もそこをなんとかできないものでしょうか。

 敷地に価値のある時代は終わり、地域に価値を見出す時代となっていきます。
そして、作る時代から使いこなす時代へシフトしていくのです。そこで、リノベーションがカギを握るのです。
 リノベーションとリフォームは根本が違います。
Re inovation (経営改善.マネジメント.暮らしの編集―建築的行為のみにあらず)
Re form(仕立て直す)
つまり地域経営、都市経営という発想がリノベーションです。
 物件の価値は人によって違い、コミュニケーションによりその地域の一貫性が生まれます。関係性のリ・デザインが、持続可能な街の元となります。そして、
あなたでなければ、
ここでなければ、
今でなければ
というビジョンを構築し、共感を取り戻すことがその第一歩となるのです。

 大島先生が手掛けた事例の数々は、高齢化などで閑散としてしまった駅前立地の企業の団地、
歯抜け状態になった民間の賃貸マンション、
過疎の町の廃校になった小学校…。
どうしようもない社会のお荷物となったエリアや建物を、地域経営の考え方でものの見事に再生させています。
住民を増やし若返らせ、人気スポットにさえなっているのです。
 日常を見直し、あるものを見つける。生活の蓄積が用の美を創り出します。
 今までの常識や考え方を変える必要性を認識し、今後の仕事に活かしていきたいと思いました。
身に詰まる質疑も多く、やや時間延長気味になる程で、受講者皆が何かを強く感じた、とても素晴らしいセミナーでした。

 大島先生と委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。

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2020年03月31日

第29回 わたしらしい住まいづくり イベント報告      高比良実紀

 今年度は1月25日から港図書館との共催企画「住まいの絵本 読み聞かせ&ワークショップ」でスタートし、
1月28日から2月9日まで名古屋都市センターまちづくり広場にて女性建築士の作品、活動紹介パネル展示と一般向けに住まいの無料相談会を、
2月1日にはセミナーを開催し、多くの方にお越しいただきました。
 たくさんの方にご参加、ご協力いただきましたことを心より感謝申し上げます。

■ 住まいの絵本読み聞かせ&ワークショップ 「ちいさいおうち」どこにたてる?

「ちいさいおうち」の読み聞かせ
 場面に合わせて三輪氏の制作した木のおもちゃが登場。
みんな物語の世界に見入っていました。
 港図書館さんには、住まいの絵本をご紹介いただきました。

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 ワークショップでは折り紙のちいさいおうちを地図上の好きな場所に建てて、自由に周りを描きました。
 子どもも大人も時間を忘れるほど夢中になって、楽しくておもしろい町ができました。
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■ 女性建築士の作品・活動紹介パネル展示

 今年度はセミナーに絡め「リノベーション」をテーマにパネル展示を行いました。
 耐震改修、住み手の世代交代、暮らし方の変化に合わせた改修など、建物や住み手による課題に女性建築士ならではの提案が盛り込まれた作品が並び、見ごたえのある展示となりました。
 テーマであるリフォーム・リノベーションの展示の他にも手掛けた建物、活動などを紹介し、建築士の活動を知っていただく良い機会となり、アンケートでは満足度・また見たい・女性建築士に興味があるという統計を約8割いただけました。

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■ 住まいの無料相談会

また、住まいの無料相談会には、パネル展をご覧になってお越しになった方が数組いらっしゃり、
女性という立場、専門家としての経験と特徴を活かすことができた相談会になりました。


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2020年03月06日

「すぐに役立つパーステクニック」講習会の報告   吉野純子

 令和元年12月15日(日)に、女性委員会主催の「すぐに役立つパーステクニック」講習会を開催しました。
前回も大好評だったパース講習会ですが、今回も老若男女16名の参加者がありました。
 講師の酒井ゆり菜先生は、女性委員会の仲間でもあります。
普段一緒に委員会活動をしていても、なかなか具体的に教えていただくことはできないので、とてもいい機会でした。
酒井さん(講師の先生ですが、普段呼びなれた敬称で失礼します)は手描きやCGパース作成、
それに水彩スケッチの講師も務めていらっしゃいます。昨年出産を期に独立されて、
今は幼子を育てながら活躍されています。

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  講習では、室内パースを鉛筆一本で仕上げていくことを目指しました。
今回の題材はLDKで、家具や小物も描いていきます。
まず、見せたいポイントをしっかり考えて構図を決めます。
正面より視点を左右に振った方が絵に動きが出ます。
逆に重厚感を出したいときは正面からの絵にします。
次に目線と消点を決めて、グリッドで切って部屋を描きます。
そこに壁の凹凸や窓などの建築的な要素と、家具や小物などインテリア的な要素を入れていきます。
格好良く仕上がる線の描き方や影の付け方のテクニックも具体的に教えていただきました。

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  説明を聞きながら、実践で手を動かして描いていくのですが、
2時間半の講習があっという間でした。
もっとたっぷり時間があってもいい!と思えるほど楽しく集中しました。
私は普段からお客様へのプレゼンで、手書きのパースを描いています。
しかし感覚的にやっていた部分も多くありました。
今回パーステクニックとして理論的に教えていただいて、
なるほど!と思う部分がいくつもあり、意識して描くことも大事だと感じました。
 とはいえ、手書き線のニュアンス、影のつけ方、鉛筆のタッチの具合によってパースの雰囲気は違ってきます。
同じ室内のパースを描いているつもりでも、酒井さんの描いた見本のように「雰囲気のあるパース」にはならない…。
とにかく機会を作って何度でも描いていくことで上達するとのことなので、
どんどん描いて、満足いくパースを仕上げられるようになりたいです。

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2020年02月01日

見学研修会(令和元年11月15日)碧南市哲学たいけん村無我苑・藤井達吉現代美術館を訪ねて        近藤 万記子

 女性委員会の研修ではいつも新たな発見をさせていただきます。
今回の研修も総勢19名の参加者とともに愛知の様々な宝物を発見できる一日でした。

 まず、愛知県民でありながら藤井達吉現代美術館という存在を知らず。
旧商工会議所をリノベーションした黒い外観は、
寺町を形成する美術館周辺の街並みを意識されたもの
(第16回愛知まちなみ建築賞、第19回BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞)。
そして参加者にはこの建物のみならず、企画展示をお目当てに参加された方もおみえでした。
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 その企画展示が「長七たたき」という人造石工法を確立した
「服部長七氏(1840〜1919)と近代産業遺産」の展示です。
たたきといっても消石灰と真砂土と水を練ったものを突き固めたもの。
明治時代に護岸工事などの大きな土木プロジェクトで採用されています。
鉄筋コンクリート工法が普及するまで日本の土木工事を支えた長七たたきの人造石工法。
現在は、四日市旧港に防波堤が重要文化財として残されています。

 藤井達吉氏(1881〜1964)の作品も生で初めて見ました。
私見で申し上げるなら、グラフィックデザイナーでインテリアデザイナーの先駆けであった方。
小原村での和紙工芸や七宝で有名ですが、現代の私たちにも新しさを感じさせる繊細なデザインでした。

 昼食にセッティングされたのは、碧南と言えば思い浮かぶ発酵系。
九重味淋(石川八郎治商店)のみりん工場内の民家レストランで、
季節の魚もろみ漬け御膳をいただきました。
地元の味の文化にも触れた気がします。
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 そして哲学たいけん村無我苑へ到着。
碧南市の住宅街にひそやかに、しかし4479uの広大な敷地の施設がありました。
「瞑想回廊」は鉄筋コンクリート造で若山滋氏の設計監修、
木造数寄屋の市民茶室「涛々庵」は中村昌生氏の設計監修、
研修道場「安吾館」は横内敏人氏の設計監修。
無我愛を唱えた地元の思想家伊藤証信氏と梅原猛氏の展示、
えて市民が利用する研修施設があります。
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 私たちの目的はやはり建物にあり、中村昌生氏の二重露地と茶室しかり、
お点前もいただける横内氏の立礼茶席と和室。
特に茶室と露地を包括した二重露地の囲い塀の存在は精神性を感じさせるもので、
思想を体現された建物が実在し、味わえる幸せを噛みしめました。
半面、こんなに良い施設がなぜあまり知られていないのだろうと、
残念にさえ思います。
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 私自身も含め、地元・足元の歴史文化や建築物に対して無知で、楽しめていないか。
愛知の建築をもっと知らなければ、と考える研修となりました。
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2020年01月01日

防災セミナー2019の報告 「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」 近藤美夏

今年度も女性委員会では防災セミナ−を開催しました。
第9回となる今回は11月1日に愛知建築士会会議室にて名古屋大学・減災連携研究センター客員教授の武村雅之氏をお迎えして
「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」という内容でお話を伺いました。
参加者は30名でした。

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1923年に起きた関東大震災を中心に、過去の災害を様々な側面から比較して、
災害によってなぜ被害が大きくなったのかを学びました。

例えば関東大震災の火災旋風で両国の陸軍被服廠跡地に集まった3万8千人が焼死したという惨事についても、
最大の原因は火災旋風そのものではなく、
2万坪の敷地にぎっちりと詰め込まれた家財道具が火災の延焼を促進したという調査結果には考えさせられました。
江戸時代には家財道具と延焼の因果関係が広く知られ家財の持ち出しは掟で厳禁だったことや、
家財道具を強制的に破棄して通過させた隅田川の橋では多くの人が助かったというエピソードと比較しよく理解できました。
大八車が自動車に代わった現代では災害のたびに大渋滞が起こります。
ガソリン車が木造密集地を通過することについての危険性を考えるとき、
過去の災害から学ぶことが大切だと思いました。

災害の際に被害が甚大となる地域は元々低湿地だったり埋め立て地であったりすることが多いのですが、
干拓や埋め立て、堤防工事などの科学技術により土地利用が進んでいます。
政治的経済的要因の蓄積ではありますが、別の表現で言えば人間の欲望のためです。
科学技術に対する過度な期待と妄信はそろそろやめましょうと提言されていました。
科学技術が進歩すればするほど、自然破壊が大きくなるということです。
大規模な防潮堤や排水設備は維持にも巨額が投じられており、ひとたび災害で破壊損傷すれば、
もはや負の遺産となり復興を阻害します。
あえて土地の利用を制限する、科学技術は道具だと割り切って考えて適度に使う、
壊れても復興しやすい構造や規模にとどめるなど、
人口減少の日本において次の世代に負の遺産を残さないことを真剣に考えるのが現代の「防災」といえるかもしれません。

「防災セミナー」ではありますが、人間は予測が苦手なので災害を「防ぐ」ことは無理で、
ある程度の被害は覚悟しなければならないことを学びました。
できることは被害をなるべく小さくするように対策をすること。
被害を小さくするという点において建築基準法の果たしてきた役割は大きいということも改めて認識しました。
人間の得意なことは苦難を乗り越えること、
そしてお互いに助け合って復興することであるという数多くの実例にも感銘を受けました。

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