2017年05月13日

平成28年度第59回建築士会全国大会(大分大会)  畑中ひと美

平成281022日、大分県の別府国際コンベンションセンター・ビーコンプラザにて小雨の中、建築士会全国大会大分大会が開催されました。

 4月に発生した熊本県・大分県を震源とする地震では、由布市・別府市で大きな被害が出ています。

 大分建築士会会長の挨拶では「一時期は開催を危ぶんだが、安全・安心な建築に携わる建築士の気概を示す場として、また被災地支援のためにも」と説明され、この日の大分大会無事開催に及んだそうです。

セッションは女性委員会の「和室についての報告」に参加しました。26回全国女性建築士連絡協議会からの連続テーマです。減少していく和室について、全国のアンケート結果・伝統的な和室・今後の和室について発表され、あらためて和室に対し考える機会となりました。

 記念講演は、本格焼酎「いいちこ」のアートディレクター河北秀也氏が「いいちこ」のコマーシャルを『引受けるにあたっての迷い』から『今日のコマーシャル』に至るまでを、当初ポスターから現在のTVコマーシャルまで、視覚と同時進行のプレゼン形式でお話しされました。

 どこかで自然に馴染んでいたCMが知らぬ間に身近な存在となっていた力には感銘し、建築に携わる者として、「何気ない中に、五感を通して心地よさを感じる」建物づくりができたらと、痛感しました。

 大会翌日は、天井と壁に木構造を採用した大分県立美術館「OPAM」、切妻で八幡造様式の建物の「宇佐神宮」、宝形造りの美しい大堂の「富貴寺」を見学し、約1300年前からの木造建築とこれからの木造建築の歴史と可能性を感じました。

 2日間の大分大会は「安心して過ごせる場」「心に響く建築」の大切さを改めて認識した、とても有意義な全国大会でした。

 最後に、今大会前日被災の鳥取県・熊本地震の被災地大分県の皆様には1日も早い復旧となりますようお祈り申し上げます。
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●会場の別府国際コンベンションセンターにて集合写真  ●女性委員会「和室についての報告」
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●大分県立美術館 設計 : 坂茂                                ●八幡宮総本社 宇佐神宮

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(自由報告) 介護現場から思うこと  竹中美智子

私は4年前に建築士と社会福祉士として、福祉用具貸与事業所と建築士事務所を立ち上げました。主な仕事は、介護保険で定められた福祉用具貸与(特殊寝台や車いすなどの13品目)、と、特定福祉用具販売(ポータブルトイレや入浴補助用具などの5品目)、防水シーツや靴などの福祉用具販売、住宅改修(手すりの取付や段差解消などの7項目)です。ケアマネージャーがいる居宅介護支援事業所から要支援者や要介護者を紹介してもらい、レンタルや販売、住宅改修を行っています。

 現在は、介護保険や医療保険の充実により、疾病を負っても在宅での生活が続けられる環境が整いつつあるため、在宅の高齢者は増加傾向にあります。内閣府の調査によると、自宅で最期を迎えたい高齢者は半数を超えています(高齢者の健康に関する意識調査 内閣府H24)。同様に自宅で介護を受けたい人も、男性で42.2%、女性で30.2%と日常生活を送る上で介護が必要になった場合にも在宅生活を続けたい人が多くなっています。

 脳梗塞などの突然の疾病により入院し、急性期が終わると、本格的なリハビリが行われ、退院の目途が立った時点で、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などと自宅の改造提案(退院前カンファレンス)が行われます。自宅に手すりを付けたり、段差解消をしたり、就寝場所の変更をしたりすることで、要介護の状態である人の在宅生活が安全安心に続けられるための提案です。

 私は、福祉用具屋として、また住宅改修の施工業者としてその場に呼ばれ、PTOT、ケアマネとともに様々な意見交換をします。例えばPTが提案したいトイレの手すりの位置には、胴縁がないから手すりはつかないとか、この壁は扉に変更できるとか、建築士だからこそわかる構造上の問題が、その場で解決できることを重宝がられます。動線を考慮した手すりを提案したり、梁のちり分を計算し前出を大きく調整した階段手すりとしたり、玄関框の踏み面と蹴上げを計算し適切な段差解消をしたりするなどの細かな心遣いが、従来の住宅改修にはない良いものができると、利用者やケアマネ等に喜ばれています。

 最近は、建具の建付けが悪くなったことやドアノブの交換などの小さなことから、来客時に玄関ドアを開けに行けない悩みや、トイレを寝室近くにつくりたいとのレイアウト変更など、様々な相談を利用者やケアマネから受けるようになりました。

 介護や医療のエキスパートと、建築のエキスパートが利用者にチームアプローチを行うことにより、利用者の安全安心な環境整備だけではなく、ケアマネやPTOTの仕事効率の向上にも役立っていると思っています。

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2016年12月27日

平成28年度第26回全国女性建築士連絡協議会(奈良大会) 参加報告     杉原 尚子

 2016722日、23日の2日間、奈良で第26回全国女性 建築士連絡協議会が開催された。久しぶりに東京ではない場所での開催で、愛知から7名が参加した。とても暑い日だった。1日目の会場となった奈良女子大学へは、近鉄奈良駅から近いとはいえ、汗をかきながら歩いた。初めて訪れたが、正門も、校舎も、講堂も伝統ある大学の雰囲気が漂っていた。ゆっくり建物見学ができなかったのが残念だ。

 基調講演では、岐阜大学名誉教授の渡辺先生から、「日本の暮らし豊かな生活文化の再発見」というテーマでお話を伺った。@和室には学ぶべき知恵が詰まっている。800年かけて変化し、床の間や書院、違い棚などのビルドインが進んで今の和室があること。A床(ゆか)に対する考えも世界的に注目されてもいるし変化している。変化を否定せず、柔軟に対応することで次世代の住宅像も見えてくる。畳にスリッパもありだ。B「古い技術」と同時に「新しい手法」の準 備も必要。など、とても勉強になるお話だった。

その後のパネ ルセッションでは、和室のある暮らしを経験したことのない、奈良女子大学大学院の臼田さんの和室に対する考えがとても新鮮だった。被災地の現状報告では、茨城の鬼怒川氾濫被災状況や熊本地震後の最新状況を知ることができた。

交流会は、日航ホテル奈良に場所を移し行われた。今回は東京建築士会のお二人とも宿泊先が一緒ということで様々な意見交換ができ、とても有意義な時間となった。

 2日目はB分科会「エネルギーと暮らし」に参加した。発表者は京都建築士会の豊田保之さん、西田教子さんのお2人。豊田さんからは事例報告を通じて、自然の暮らしを楽しみながら省エネをする方法を、西田さんには小学生向けの取り組みについて発表いただいた。発表後のグループ討議では、それぞれの地域での省エネ対策への悩みや、竣工後の光熱費等の状況把握の重要性についてなどの話が出て、今後もエネルギーと暮らしについて考えていく必要性が確認された。

午後からのエクスカーションは天理市へ向かい、三輪そうめん山本本社(竹中工務店)、大神神社、石上神宮などを見学した。天理市には初めて入ったが、信者詰所や病院など市内中心部にはRC造で瓦屋根という建物が並び、独特な町並みをつくっていた。足早の見学だったので、次回もう少し涼しい時期にゆっくり訪れたい。

 今回も内容の濃い2日間だった。すでに今から来年の東京での開催を楽しみにしている。

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●会場の奈良女子大学で記念撮影           ●大会講評
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●B分科会「エネルギーと暮らし」 ●全国委員長会議      
 


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平成28年度講習会『認知症のための住宅改修と介護保険制度』の報告          大崎 友記子

 女性委員会主催の『認知症のための住宅改修と介護保 険制度』の講習会が、830日に愛知建築士会の第2・3会 議室で開催されました。講師は会員でもあり、福祉について広い見識を持つ内藤恵子さん(設計室ないとう、NPO法人 いきいき住宅リフォーム支援機構愛知理事)と竹中美智子さん(社会福祉士、DEN代表取締役)のお二人が担当してくださいました。超高齢社会を迎え介護生活は誰にでも起こりうる現在、参加者40名余りの内8名は会員外の方で、関心の高さがうかがえる講習会でした。

 内藤さんからは、認知高齢者を在宅介護するための住宅改修事例を紹介していただきました。施主は、実の娘であり、医療・福祉の専門家でもあるとのことで、高齢者本人のそれまでの暮らしや環境、人間関係、性格や趣味などは把握されており、改修計画もスムーズに行われたそうです。実際に生活が始まってみると、以前の住宅より室内での移動距離が増え、体力の向上がみられた。娘家族との同居で、孫のパジャマをたたむことが嬉しく、きちんと洗濯物がたためるようになった。ベッドに座ると目に入る位置に仏壇を置いたところ、お参りの習慣が復活したなど、嬉しい変化がみられたそうです。しかし一方で、センサー付きの照明は、自動的に明りがつくことに理解ができず、また蛍スイッチなど必要のないランプ がついていることは「もったいない」と言われ、慣れるまでに時間がかかったとのこと。

 「生きてきたように老いていく」この言葉が今回内藤さんの講演タイトルでした。認知症になっても、その人の人柄や今までの生き方が行動に現れるそうです。だからこそ、その人を理解するために生い立ちや性格、人間関係、周辺環境を把握することは大切なことだと話されました。他にも、自立しようとする意欲(=嬉しいこと楽しいことを引き出す)につながる空間づくり、自分でできることを増やす環境づくり、本人だけではなく家族の満足にもつながる暮らし(先のことを見越すより現在 の暮らしに対応する)など、建築で何ができるのか?といつも模索されながら、設計と向き合ってみえるお話を伺いました。 

 社会福祉士としても活躍されている竹中さんからは、介護保険制度の概要と動向について、また介護保険の申請や保険内の住宅改修ポイント、各市町村の独自サービス等、経験を踏まえたお話を聞かせていただきました。そして建築士の目線から、福祉用具や特定福祉用具を上手に併用することで空間が使いやすくなり、費用的にも構造的にも無理のない住宅改修ができる例も紹介していただきました。しかし、地域包括ケアシステムへの構築が進む中、生活の基盤として必要な住まいの整備、本人や家族の希望に叶った住まい方を支援するには、福祉・医療分野の専門職と建築士がチームを組むことの大切さを実感されているそうです。その人の生活全般の課題を理解し、できないことを補うだけではなく生活の質を向上させる支援ができる建築士の役割は大きいと、話されました。

 今後この講習会が、建築士だけではなく医療・福祉に携わっている方、介護をされている方などの意見や情報交換の場となり、多分野の方々が連携して、高齢者・障がい者の在宅生活を支援する住居改善に役立つ場となることを期待しています。
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2016年08月27日

東海北陸ブロック会 女性建築士協議会 平成27年度前期定例(愛知)会議報告 池田 園子

 東海北陸ブロック会 女性建築士協議会 平成28年度前期定例(愛知)会議が、平成28年6月25日、愛知建築士会会議室にて行われました。前年度の後期会議に引き続き愛知県開催という事でしたが、後期での経験を活かしてスムーズに準備をする事ができました。

 会議では各県の今年度の事業計画の発表があり、福井県の何年も続けてみえる住居教育活動、石川県のお茶室体験、岐阜県の収納や税の研修会、富山県のお仕事報告会、三重県の介護の体験談を報告する会など、各県とも個性的で、限られた時間と予算の中で工夫しながら意欲的に活動に取り組んでいる様子が伝わってきました。会議後半では、長いこと見直しがされていなかった規約について、現在の活動に合わせた内容となる様、修正の提案がなされ、承認されました。


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その後、希望者はテレビ塔の見学のため地下鉄で移動となりましたが、その移動時間は交流の場となり、今後予定している他県への研修見学会について、地元の人としてのアドバイスを交換し合う貴重な時間となりました。

テレビ塔見学ではテレビ塔()の担当者にバックヤードも案内して頂き、タワーのない県からいらしたタワーマニアの方にも喜んで頂けた様です。4月のオリエンテーションで予習済みの愛知のスタッフが、建築に携わる者の視線での面白ポイントを解説することができ、開催県として楽しいおもてなしができたのではと思っています。

前回の後期会議・今回の前期会議と愛知県開催が続きましたが、なかなか他県の会議へは参加が難しい委員も会議に参加することができる良い機会だったと思います。

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