令和2年2月1日、第29回わたしらしい住まいづくりのセミナーに、ブルースタジオの大島芳彦先生をお迎えしました。
タイトルは「なぜ今、リノベーションを考えるのか」
日本は空き家の活用ができていません。日本に‘空き家は資本’という考え方はなく、500兆円の経済損失と言われています。
新築を建てた瞬間から価値はどんどん下がっていく…。
中古住宅の流通が健全な米国はそういった損失はないのです。我が国もそこをなんとかできないものでしょうか。
敷地に価値のある時代は終わり、地域に価値を見出す時代となっていきます。
そして、作る時代から使いこなす時代へシフトしていくのです。そこで、リノベーションがカギを握るのです。
リノベーションとリフォームは根本が違います。
Re inovation (経営改善.マネジメント.暮らしの編集―建築的行為のみにあらず)
Re form(仕立て直す)
つまり地域経営、都市経営という発想がリノベーションです。
物件の価値は人によって違い、コミュニケーションによりその地域の一貫性が生まれます。関係性のリ・デザインが、持続可能な街の元となります。そして、
あなたでなければ、
ここでなければ、
今でなければ
というビジョンを構築し、共感を取り戻すことがその第一歩となるのです。
大島先生が手掛けた事例の数々は、高齢化などで閑散としてしまった駅前立地の企業の団地、
歯抜け状態になった民間の賃貸マンション、
過疎の町の廃校になった小学校…。
どうしようもない社会のお荷物となったエリアや建物を、地域経営の考え方でものの見事に再生させています。
住民を増やし若返らせ、人気スポットにさえなっているのです。
日常を見直し、あるものを見つける。生活の蓄積が用の美を創り出します。
今までの常識や考え方を変える必要性を認識し、今後の仕事に活かしていきたいと思いました。
身に詰まる質疑も多く、やや時間延長気味になる程で、受講者皆が何かを強く感じた、とても素晴らしいセミナーでした。
大島先生と委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。