2017年12月28日

平成29年度 女性委員会講習会「町を住みこなす〜超高齢社会の居場所づくり〜」に参加して 磯部喜恵

 8月6日に愛知建築士会会議室において、東京大学大学院の大月敏雄教授の、表題についての講演会が行われました。

 超高齢社会とは、総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合が、21%を超えた社会のことを言うそうです。日本は、平成15年にすでに26.7%となっており、世界のトップを走っています。これからもこの現象はますます加速されていくなかでの、現状や例、問題点、今後求められること、などについてのお話でした。

 戦後の住宅不足を補うためにつくられた狭い共同住宅は、家族構成の変化により、隣や上階などを買い足して生活をしている例などは、意外な住まい方をしていて、日本の住まいに対する生活様式・水準の変化も感じました。

 また、1 9 6 0 年代から、さかんに各地につくられたニュータウンが老化してきた、という例は、私たち誰でも思い当たる、また身近な現象として興味のある話でした。ニュータウンは、入居時はほとんどが同じような年齢層で構成されていました。これを大月先生は「35歳と生まれたて」と表現されています。子供世代が巣立ってしまうと、高齢者になった親世代がほとんどになり、学校のクラス数も激減し、保育園などが統合されたところもあると聞きます。都市計画上の理想として、中央に位置していたショッピングセンターも経営不振となり撤退、一箇所に集められていた商店街もほとんどが閉まっているところもあります。郊外のちょっと小高い山を削ってつくられたところが多いので、車がないと買い物や病院等に行くにも不便で、道路と敷地に高低差のあるところなども多く、高齢者にとっては、とてもいい環境とは言えなくなりつつあります。

 住まい方に多様性があるように、町の機能にも多様性が必要で、年齢層の違う世帯や、ちょっとした商店、集まりの場所などが点在し、もっと近隣との関係がもてるような町がいいのかな、と考えさせられました。

 終了後、気さくな先生を囲んでの交流会でも、活発な意見交換が行われました。


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●講師 : 東京大学 大月敏雄教授              ●講師交流会 延長して皆でたくさん話しました








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平成29年度 第27回全国女性建築士連絡協議会に参加して  谷村留都

 71516日「未来へつなぐ居住環境づくり」と題して東京の建築会館で開催された。

 開会式の後、2件の活動報告、続いて被災地6県からの報告、その後基調講演と6時間以上に及ぶ長丁場の1日目は終わった。2日目は8つの分科会に分かれ、防災への取り組み、地産地消のすまい等々の内容で活発な議論が行われ、最後に総評で締めくくって無事終了した。いくつか印象に残った報告を簡単に紹介したい。

 最初の活動報告、北海道の女性委員会は、18年前から「子どもと建築」をテーマに継続活動している。今回は「高校住教育講座〜はじめての一人暮らし〜」という家庭科の授業への出張講座の報告であった。北海道の場合、卒業後進学も含めて親元を離れての一人暮らしが始まる生徒が多い。その手助けになる訓練として集合住宅の1室をプランニングする課題を女性委員会がサポートした。現実的な課題を通じて不動産手続きのやり方、住環境への気づきなど身の丈に合った住教育の一端を担っている。

 宮崎県延岡支部は、東京の有名建築家を招待して市民と共にワークショップの手法を学んだ。同時に空き店舗が多い駅前商店街の1室を借り、DIYの講習会を何度も行い、自らの手で市民と共にリノベーションした。出来上がったスペースはコミュニティ空間としてその後も活用している報告であった。

 岩手、宮城、福島、熊本、佐賀、鳥取の被災地からは、取り組みの状況や厳しい現実についてそれぞれ熱く語られた。生の被災地報告を聞くと、テレビ等マスメディアの情報とは違う現実がわかり、いずれ他人事ではなくなることを覚悟した。

 女性建築士連絡協議会は来年の高知大会へ向け「和の空間を考える」を共通テーマにしている。その一環としての基調講演は、明治村館長で建築史家の中川武先生による「居住空間にとって美とは何か」であった。先生のお話は古代からの住居の歴史を踏まえての壮大なスケールで、ついていくのが精いっぱいであったが、結局美についての結論はよくわからなかった。ただ、「重層的な非決定」という日本人ならではの物事の成立方法の解説で、もやもやっとした歴史の流れの捉え方が見えたような見えないような…。先生の著書『日本の家』を読んで、ぜひ地元の愛知でもお話を聞きたいと思った。久し振りの参加であったが学ぶことの多い会で、若い方がもっと参加されることを期待する。


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●全国女性建築士連絡協議会 東京建築会館にて     ●基調講演 中川武先生

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 ●日本連合会女性委員会委員長(愛知の小野常務理事)  ●分科会の司会・報告(愛知の筒井担当理事)

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●愛知の参加委員+1歳委員                    ●集合写真 

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●基調講演 中川武先生の名著

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●まちあるき


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東海北陸ブロック会女性建築士協議会平成29年度前期定例(石川)会議報告  杉原尚子

 624日(土)、平成29年度前期定例(石川)会議が、金沢市の石川県立美術館広坂別館の多目的室で開催された。ここは、大正11年に陸軍第九師団、師団長官舎として建てられ、その後は米軍将校官舎、金沢家庭裁判所、石川県児童会館など様々な施設として利用されてきた洋館だ。昨年耐震改修し、隣に石川県文化財保存修復工房が新築移転され、リニューアルオープンしたところだ。

 会議では2月の敦賀での後期会議で集まって以来、4か月ぶりに東海北陸ブロックの皆さんとお会いし、28年度の各県活動報告や、29年度の事業計画や予算案の審議、30周年事業についての協議など活発な意見交換がされた。

 会議後は、多目的室隣の修復工房ガイダンス室で広坂別館の建物についてと修復事例の説明を聞き、その後は石川県文化財保存修復工房に移動して、見学スペースからガラス越しに表具修復室と漆工芸品修復室の作業の様子を見学した。

 平成9年に石川県庁出羽町分室に開設して以来20年になるが、いまだに他県には1つも県の施設として修復工房は開設されておらず、石川県にしかないとのこと。石川県には藩政時代から受け継がれ育まれた文化的な土壌があり、多数の美術工芸品が残されていることから、地元に工房がどうしても必要だったとの説明に納得した。

 表具修復室では、ちょうど旧裏打紙除去作業が行われており、気の遠くなるような細かい作業を淡々と続けられており、とても大変な作業であることを改めて実感し、同時に、大事な文化財を守ることの重要性を感じた。修復室内は湿度も管理されており、特に漆工芸品修復室は湿度設定も高く、暑い時期は特に大変な作業となるとのことだった。ここでは修復と同時に、伝統的な技術の継承、若い技術者の指導育成も行われており、ここにも石川県の文化芸術に対する意識の高さが表れていると実感した。

 次回の後期ブロック会議は岐阜の十八楼とぎふメディアコスモスで2月に開催予定だ。今回同様次回も、会議や見学会を通じて他県の皆さんと活発な意見交換をすることで、各県での活動の更なる向上をめざしていきたい。


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●前期定例(石川)会議 広坂別館にて         ●集合写真

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平成29年度 女性委員会+α「製品選定だけではないショールームの活用」に参加して 佐藤百世

5月の女性委員会は「委員会+α」という試みで大名古屋ビルヂィングにあるTOTO様をお借りして委員会を行った後、テクニカルセンターとショールームの見学を行いました。

テクニカルセンターは設計や施工など建築の専門家向けのショールームといったところです。一般のシュールームでは見られない商空間向け水回り製品、バリアフリー製品が数多くありました。単に製品が並んでいて見比べるというだけでなく、製品の技術的な特徴がわかるような陳列も多くお客様への説明の際のネタにもなりそうです。

特にバリアフリー向けの製品が多かったように思います。実際に設計する際、壁との空きや高さとか設備ひとつひとつの配置に苦慮すると思いますが、それが寸法に落とし込みやすいように壁や床がモジュールになっている部屋があり、原寸模型を使って位置を体験できるスペースもあります。文章で説明するより写真があればどんなスペースがわかりやすいのですが、このテクニカルセンターは技術的なことが多くあるため撮影禁止なのです。気になる方はぜひ行って見てください。

大名古屋ビルヂィングには一般の方向けショールームもあります。ここはTOTOだけでなくYKKとダイケンも一緒にあります。住宅の場合設備関係のショールームを回られることは多いですがサッシや床材まで見られるお客様は少ないので一緒にあるのはありがたいですね。サッシはこの数年断熱性能アップが著しいですが見た目でわかることではないのでその違いをお客様に納得していただくのが難しい分野です。床材なども住宅会社などはサンプルが大量にあるのでいいですが設計事務所ではそうもいかずその都度増えていくサンプルに手を焼く方も多いのでは。こういう所をうまく活用して選定を効率よくできたらと思います。

常に技術改革して製品が変わっていく中、製品選定だけでなく知識のアップデートとしてのショールーム活用も必要だと感じました。


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●大名古屋ビルヂング TOTO様会議室にて委員会後 建材ショールーム見学

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平成29年度 女性委員会オリエンテーションと懇親会に参加して  酒井ゆり菜

 今年度のオリエンテーションは、半田の旧中埜半六邸にて開催されました。委員長より、昨年度の事業報告と今年度の年間スケジュールについて説明があった後、各事業の担当リーダーから事業企画のプレゼンが行われました。

 委員会が終わった後、旧中埜半六邸の管理者であるNPO法人半六コラボの杉浦理事長のお話を伺いました。

 旧中埜半六邸は、江戸から明治初期にかけて海運業や醸造業で繁栄した豪商の邸宅です。現在1階はテナント、2階は貸し部屋として使われています。

 杉浦さんらボランティアは2000年頃から独自に修繕活動を続けていました。その後半田市に購入されたものの、多額の耐震費用がかかるという理由で取壊しを市が決定。市との意見交換会を重ね、限界耐力計算法による耐震診断、NPO団体の設立、出資募集、寄付などを経て、取壊しが撤回され、半六邸改修プロジェクトが実現しました。

 「様々な困難があったが活動を続けたその熱意はどこから?」という質問が出ました。杉浦さんは、かつて賑わっていた商店街にご実家があり、生まれ育った半田に活気を取り戻したいという思いから活動を始めたそうです。また、活動を通じて古いものの価値、日本文化の良さが分かってきた、とおっしゃっていました。もちろん、費用の目処が立ったこと、ご主人の理解と協力などが続けてこられた現実的な理由ということもおっしゃっていましたが、やはりまずは杉浦さんの熱意があったからこそ、周囲が動いてくれ、得た結果だと思います。

 昼食は、半六邸再建の一端を担う1階のおとうふ工房いしかわにていただきました。昼食時の自己紹介で、今年の自分のテーマを発表しました。仕事、家族、趣味、生活スタイルについてなど、様々なお話がありました。皆さんが精力的に活動されている様子を見て、いつも刺激を受けます。

 午後からは、ミツカンミュージアムに移動し、見学しました。ここでも、造り酒屋にはリスクのある酢造りを始めた熱意や、江戸の寿司に半田の粕酢の需要があると活路を見出した熱意を感じ、今年度のスタートを切るにふさわしい一日となりました。


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●オリエンテーション  (登文)旧中埜半六邸にて     ●半田の運河 ミツカン

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●MIM(ミツカンミュージアム)見学 集合写真








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