2020年03月06日

「すぐに役立つパーステクニック」講習会の報告   吉野純子

 令和元年12月15日(日)に、女性委員会主催の「すぐに役立つパーステクニック」講習会を開催しました。
前回も大好評だったパース講習会ですが、今回も老若男女16名の参加者がありました。
 講師の酒井ゆり菜先生は、女性委員会の仲間でもあります。
普段一緒に委員会活動をしていても、なかなか具体的に教えていただくことはできないので、とてもいい機会でした。
酒井さん(講師の先生ですが、普段呼びなれた敬称で失礼します)は手描きやCGパース作成、
それに水彩スケッチの講師も務めていらっしゃいます。昨年出産を期に独立されて、
今は幼子を育てながら活躍されています。

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  講習では、室内パースを鉛筆一本で仕上げていくことを目指しました。
今回の題材はLDKで、家具や小物も描いていきます。
まず、見せたいポイントをしっかり考えて構図を決めます。
正面より視点を左右に振った方が絵に動きが出ます。
逆に重厚感を出したいときは正面からの絵にします。
次に目線と消点を決めて、グリッドで切って部屋を描きます。
そこに壁の凹凸や窓などの建築的な要素と、家具や小物などインテリア的な要素を入れていきます。
格好良く仕上がる線の描き方や影の付け方のテクニックも具体的に教えていただきました。

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  説明を聞きながら、実践で手を動かして描いていくのですが、
2時間半の講習があっという間でした。
もっとたっぷり時間があってもいい!と思えるほど楽しく集中しました。
私は普段からお客様へのプレゼンで、手書きのパースを描いています。
しかし感覚的にやっていた部分も多くありました。
今回パーステクニックとして理論的に教えていただいて、
なるほど!と思う部分がいくつもあり、意識して描くことも大事だと感じました。
 とはいえ、手書き線のニュアンス、影のつけ方、鉛筆のタッチの具合によってパースの雰囲気は違ってきます。
同じ室内のパースを描いているつもりでも、酒井さんの描いた見本のように「雰囲気のあるパース」にはならない…。
とにかく機会を作って何度でも描いていくことで上達するとのことなので、
どんどん描いて、満足いくパースを仕上げられるようになりたいです。

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2020年02月01日

見学研修会(令和元年11月15日)碧南市哲学たいけん村無我苑・藤井達吉現代美術館を訪ねて        近藤 万記子

 女性委員会の研修ではいつも新たな発見をさせていただきます。
今回の研修も総勢19名の参加者とともに愛知の様々な宝物を発見できる一日でした。

 まず、愛知県民でありながら藤井達吉現代美術館という存在を知らず。
旧商工会議所をリノベーションした黒い外観は、
寺町を形成する美術館周辺の街並みを意識されたもの
(第16回愛知まちなみ建築賞、第19回BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞)。
そして参加者にはこの建物のみならず、企画展示をお目当てに参加された方もおみえでした。
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 その企画展示が「長七たたき」という人造石工法を確立した
「服部長七氏(1840〜1919)と近代産業遺産」の展示です。
たたきといっても消石灰と真砂土と水を練ったものを突き固めたもの。
明治時代に護岸工事などの大きな土木プロジェクトで採用されています。
鉄筋コンクリート工法が普及するまで日本の土木工事を支えた長七たたきの人造石工法。
現在は、四日市旧港に防波堤が重要文化財として残されています。

 藤井達吉氏(1881〜1964)の作品も生で初めて見ました。
私見で申し上げるなら、グラフィックデザイナーでインテリアデザイナーの先駆けであった方。
小原村での和紙工芸や七宝で有名ですが、現代の私たちにも新しさを感じさせる繊細なデザインでした。

 昼食にセッティングされたのは、碧南と言えば思い浮かぶ発酵系。
九重味淋(石川八郎治商店)のみりん工場内の民家レストランで、
季節の魚もろみ漬け御膳をいただきました。
地元の味の文化にも触れた気がします。
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 そして哲学たいけん村無我苑へ到着。
碧南市の住宅街にひそやかに、しかし4479uの広大な敷地の施設がありました。
「瞑想回廊」は鉄筋コンクリート造で若山滋氏の設計監修、
木造数寄屋の市民茶室「涛々庵」は中村昌生氏の設計監修、
研修道場「安吾館」は横内敏人氏の設計監修。
無我愛を唱えた地元の思想家伊藤証信氏と梅原猛氏の展示、
えて市民が利用する研修施設があります。
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 私たちの目的はやはり建物にあり、中村昌生氏の二重露地と茶室しかり、
お点前もいただける横内氏の立礼茶席と和室。
特に茶室と露地を包括した二重露地の囲い塀の存在は精神性を感じさせるもので、
思想を体現された建物が実在し、味わえる幸せを噛みしめました。
半面、こんなに良い施設がなぜあまり知られていないのだろうと、
残念にさえ思います。
無我苑.jpg 無我苑日本庭園.jpg

 私自身も含め、地元・足元の歴史文化や建築物に対して無知で、楽しめていないか。
愛知の建築をもっと知らなければ、と考える研修となりました。
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2020年01月01日

防災セミナー2019の報告 「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」 近藤美夏

今年度も女性委員会では防災セミナ−を開催しました。
第9回となる今回は11月1日に愛知建築士会会議室にて名古屋大学・減災連携研究センター客員教授の武村雅之氏をお迎えして
「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」という内容でお話を伺いました。
参加者は30名でした。

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1923年に起きた関東大震災を中心に、過去の災害を様々な側面から比較して、
災害によってなぜ被害が大きくなったのかを学びました。

例えば関東大震災の火災旋風で両国の陸軍被服廠跡地に集まった3万8千人が焼死したという惨事についても、
最大の原因は火災旋風そのものではなく、
2万坪の敷地にぎっちりと詰め込まれた家財道具が火災の延焼を促進したという調査結果には考えさせられました。
江戸時代には家財道具と延焼の因果関係が広く知られ家財の持ち出しは掟で厳禁だったことや、
家財道具を強制的に破棄して通過させた隅田川の橋では多くの人が助かったというエピソードと比較しよく理解できました。
大八車が自動車に代わった現代では災害のたびに大渋滞が起こります。
ガソリン車が木造密集地を通過することについての危険性を考えるとき、
過去の災害から学ぶことが大切だと思いました。

災害の際に被害が甚大となる地域は元々低湿地だったり埋め立て地であったりすることが多いのですが、
干拓や埋め立て、堤防工事などの科学技術により土地利用が進んでいます。
政治的経済的要因の蓄積ではありますが、別の表現で言えば人間の欲望のためです。
科学技術に対する過度な期待と妄信はそろそろやめましょうと提言されていました。
科学技術が進歩すればするほど、自然破壊が大きくなるということです。
大規模な防潮堤や排水設備は維持にも巨額が投じられており、ひとたび災害で破壊損傷すれば、
もはや負の遺産となり復興を阻害します。
あえて土地の利用を制限する、科学技術は道具だと割り切って考えて適度に使う、
壊れても復興しやすい構造や規模にとどめるなど、
人口減少の日本において次の世代に負の遺産を残さないことを真剣に考えるのが現代の「防災」といえるかもしれません。

「防災セミナー」ではありますが、人間は予測が苦手なので災害を「防ぐ」ことは無理で、
ある程度の被害は覚悟しなければならないことを学びました。
できることは被害をなるべく小さくするように対策をすること。
被害を小さくするという点において建築基準法の果たしてきた役割は大きいということも改めて認識しました。
人間の得意なことは苦難を乗り越えること、
そしてお互いに助け合って復興することであるという数多くの実例にも感銘を受けました。

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2019年12月01日

第62回建築士会全国大会「北海道大会・女性委員会セッション」に参加して    筒井裕子

 第62回建築士会全国大会「北海道大会」が9月21日(土)に函館アリ−ナで開催され、
女性委員会から4名が参加した。
交流セッションの女性委員会セッション「和の空間の魅力を探る・・・ふたたび」に参加したのでご報告したい。

 連合会女性委員会では、平成28年度から日本の住まい「和の空間」をテーマに取り組み、
全国各地で公開されている魅力的な和の空間、
これからの居住環境への示唆に富んでいるものを紹介する
平成30年9月にホームペ−ジ上に公開した。
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和の空間や和の要素を改めて捉え直し、
今後の設計活動、居住環境づくりに活かしてもらいたいという目的である。

 今回のセッションは、ガイドブックに掲載された和の空間の魅力の紹介とパネルディスカッションである。
はじめに北海道、青森、福岡、広島の女性委員会が選んだ和の空間が紹介された。
北海道は、函館市内に建つ和洋折衷の豪商の私邸である旧相馬邸の詳細な説明であった。


青森県は太宰治記念館斜陽館、高橋家住宅、田中家住宅、新むつ旅館を、
和の空間が継承される過程で女性が果たした役割など、
女性の視点で和の空間を読み解く内容であった。
福岡県は和の空間が非日常になりつつある視点から、
贅を尽くした華やかな和の空間を持つ、炭鉱王の邸宅であった旧伊藤伝右衛門邸、
旧伯爵家の旧柳川藩主立花邸の魅力を紹介。
広島県は県内にある建物の魅力を発掘・発信する「ひろしまたてものがたり」100セレクションに選定されている太田家住宅、耕三寺潮聲閣、恋しき(料理旅館)の紹介であった。

 パネルディスカッションでは、和の空間の魅力、活用、波及について意見交換された。
和の空間の魅力では、庭・土間・縁側・和室等の空間の流動性、
不要なものが削ぎ落されたシンプルなデザイン、
繊細なディテールなどが挙げられた。
和の空間の活用では、事例として地域教育の場として活用し、
体験が子どもや地域の人々の記憶に残り心に響くことで、
その空間のファンになって繋がっていき、
建物が保存活用されていくことなどが挙げられた。

 和の空間の波及では、ガイドブックの制作で各県女性委員会が調査取材したことにより、
建物の歴史的背景や文化的な要素、所有者の思いなど様々なことが分かり気づきもあり、
和の空間を深く理解する貴重な機会となった。
女性委員会で見学会を開催し、これを機に所有者との交流が始まったとの報告もあった。
魅力ある和の空間が活用され見学者が増えることで、
その周辺がきれいになっていき、まち並みにも良い影響を与えていることも挙げられた。

 セッションに参加して、全国の女性委員会がこの事業に取り組むことで和の空間をあらためて考える機会になり、
「和」について興味を持つ女性建築士が増え、
スローペースではあるが波及効果が出始めていることを実感した。
和の空間が減り続ける中、一筋の光明として期待できるセッションであった。

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2019年11月01日

【活動報告】令和元年度 女性委員会講習会「住まいの絵本の魅力」に答えを求めて      甲村伊津己

女性委員会では昨年度「住まいの絵本読み聞かせ会」をしたこと、
そして私達建築士が推薦する住まいの絵本に書評をつけて一冊のリーフレットを作成したことから、
今年度はもう一歩二歩お客様に寄り添う住宅の提案をしたいとの思いで講習会を企画しました。
「住まいの絵本」が教えてくれる子ども達への住教育とは何か、
また建築士である私達が学ぶべき住教育は何かを勉強する機会にしたく、
住まいの絵本館館長北浦かほる先生を講師にお迎えし、
9月7日愛知建築士会会議室にて「住まいの絵本の魅力」の講習会を参加者28名で開催しました。

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先生の住まいの絵本に対する定義とは「絵や文章から住まいや住むことについて、
何らかの情報が読み取れる絵本」であること。
それを踏まえ約2000冊の絵本を、
家・空間・共生・暮らし・建築生産・環境の6つのカテゴリーに分け、
さらに家のカテゴリーを
家族・シェルター・個の空間・イメージ空間などの18項目に分類し、
子どもにも大人にも理解しやすいように住教育に繋がる活動をされているとのことです。
「分類分けは自然にできました」と、さらりと先生は話されましたが私にはそこが一番の驚きでした。

 子どもの心の成長とは、自分を守り他者を認めることができるようになること。
「自律=自我の確立+親子の信頼関係」とのこと。
そして自律が育まれる空間としての子ども部屋の存在が日本と海外、
特に欧米とでは違うことが絵本の中から読み取れると。
欧米では子ども部屋は子どもに貸し与える部屋だそうです。
幼いころから子ども部屋で一人で寝る文化と、
添い寝や川の字寝の行程を経ていよいよ子ども部屋にたどり着く日本の文化では、
子どもの自律時期に差がみられるとのこと。
私のわずかな絵本の知識から察すると、
子ども部屋を多く扱う欧米に比べて日本の絵本では、
文化の成り立ちの違いからか、子ども部屋という場所よりお風呂やトイレ、
また縁側で抱っことか、膝枕のぬくもり、おんぶの安心感などから親子の信頼関係を学び取れるものが多いように感じます。

今回の講習会では答えを見つけるのではなく、
文化の違いから住まいの絵本を通していろんな意味を感じ、
考える大切な機会となりました。
また自身の子育てについても大きなヒントを見つけることができました。
さらには、自分はどっぷりと日本文化に浸かった子どもとの信頼関係をいまだに構築中であることにも気付きました。

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 会場には先生からお預かりした大切な絵本を分類ごとに並べ、
実際に手に取れるようにご配慮をいただき、
皆さんがとても熱心に読んでいた様子、
そして住まいの絵本を素敵な笑顔でお話しされる北浦先生のお姿も印象的で心に残る講習会となりました。

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