2019年12月01日

第62回建築士会全国大会「北海道大会・女性委員会セッション」に参加して    筒井裕子

 第62回建築士会全国大会「北海道大会」が9月21日(土)に函館アリ−ナで開催され、
女性委員会から4名が参加した。
交流セッションの女性委員会セッション「和の空間の魅力を探る・・・ふたたび」に参加したのでご報告したい。

 連合会女性委員会では、平成28年度から日本の住まい「和の空間」をテーマに取り組み、
全国各地で公開されている魅力的な和の空間、
これからの居住環境への示唆に富んでいるものを紹介する
平成30年9月にホームペ−ジ上に公開した。
QRコード.jpg
和の空間や和の要素を改めて捉え直し、
今後の設計活動、居住環境づくりに活かしてもらいたいという目的である。

 今回のセッションは、ガイドブックに掲載された和の空間の魅力の紹介とパネルディスカッションである。
はじめに北海道、青森、福岡、広島の女性委員会が選んだ和の空間が紹介された。
北海道は、函館市内に建つ和洋折衷の豪商の私邸である旧相馬邸の詳細な説明であった。


青森県は太宰治記念館斜陽館、高橋家住宅、田中家住宅、新むつ旅館を、
和の空間が継承される過程で女性が果たした役割など、
女性の視点で和の空間を読み解く内容であった。
福岡県は和の空間が非日常になりつつある視点から、
贅を尽くした華やかな和の空間を持つ、炭鉱王の邸宅であった旧伊藤伝右衛門邸、
旧伯爵家の旧柳川藩主立花邸の魅力を紹介。
広島県は県内にある建物の魅力を発掘・発信する「ひろしまたてものがたり」100セレクションに選定されている太田家住宅、耕三寺潮聲閣、恋しき(料理旅館)の紹介であった。

 パネルディスカッションでは、和の空間の魅力、活用、波及について意見交換された。
和の空間の魅力では、庭・土間・縁側・和室等の空間の流動性、
不要なものが削ぎ落されたシンプルなデザイン、
繊細なディテールなどが挙げられた。
和の空間の活用では、事例として地域教育の場として活用し、
体験が子どもや地域の人々の記憶に残り心に響くことで、
その空間のファンになって繋がっていき、
建物が保存活用されていくことなどが挙げられた。

 和の空間の波及では、ガイドブックの制作で各県女性委員会が調査取材したことにより、
建物の歴史的背景や文化的な要素、所有者の思いなど様々なことが分かり気づきもあり、
和の空間を深く理解する貴重な機会となった。
女性委員会で見学会を開催し、これを機に所有者との交流が始まったとの報告もあった。
魅力ある和の空間が活用され見学者が増えることで、
その周辺がきれいになっていき、まち並みにも良い影響を与えていることも挙げられた。

 セッションに参加して、全国の女性委員会がこの事業に取り組むことで和の空間をあらためて考える機会になり、
「和」について興味を持つ女性建築士が増え、
スローペースではあるが波及効果が出始めていることを実感した。
和の空間が減り続ける中、一筋の光明として期待できるセッションであった。

posted by afa at 00:00| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月01日

【活動報告】令和元年度 女性委員会講習会「住まいの絵本の魅力」に答えを求めて      甲村伊津己

女性委員会では昨年度「住まいの絵本読み聞かせ会」をしたこと、
そして私達建築士が推薦する住まいの絵本に書評をつけて一冊のリーフレットを作成したことから、
今年度はもう一歩二歩お客様に寄り添う住宅の提案をしたいとの思いで講習会を企画しました。
「住まいの絵本」が教えてくれる子ども達への住教育とは何か、
また建築士である私達が学ぶべき住教育は何かを勉強する機会にしたく、
住まいの絵本館館長北浦かほる先生を講師にお迎えし、
9月7日愛知建築士会会議室にて「住まいの絵本の魅力」の講習会を参加者28名で開催しました。

講習風景.JPG

先生の住まいの絵本に対する定義とは「絵や文章から住まいや住むことについて、
何らかの情報が読み取れる絵本」であること。
それを踏まえ約2000冊の絵本を、
家・空間・共生・暮らし・建築生産・環境の6つのカテゴリーに分け、
さらに家のカテゴリーを
家族・シェルター・個の空間・イメージ空間などの18項目に分類し、
子どもにも大人にも理解しやすいように住教育に繋がる活動をされているとのことです。
「分類分けは自然にできました」と、さらりと先生は話されましたが私にはそこが一番の驚きでした。

 子どもの心の成長とは、自分を守り他者を認めることができるようになること。
「自律=自我の確立+親子の信頼関係」とのこと。
そして自律が育まれる空間としての子ども部屋の存在が日本と海外、
特に欧米とでは違うことが絵本の中から読み取れると。
欧米では子ども部屋は子どもに貸し与える部屋だそうです。
幼いころから子ども部屋で一人で寝る文化と、
添い寝や川の字寝の行程を経ていよいよ子ども部屋にたどり着く日本の文化では、
子どもの自律時期に差がみられるとのこと。
私のわずかな絵本の知識から察すると、
子ども部屋を多く扱う欧米に比べて日本の絵本では、
文化の成り立ちの違いからか、子ども部屋という場所よりお風呂やトイレ、
また縁側で抱っことか、膝枕のぬくもり、おんぶの安心感などから親子の信頼関係を学び取れるものが多いように感じます。

今回の講習会では答えを見つけるのではなく、
文化の違いから住まいの絵本を通していろんな意味を感じ、
考える大切な機会となりました。
また自身の子育てについても大きなヒントを見つけることができました。
さらには、自分はどっぷりと日本文化に浸かった子どもとの信頼関係をいまだに構築中であることにも気付きました。

会場で実際に絵本を手に取る様子.JPG

 会場には先生からお預かりした大切な絵本を分類ごとに並べ、
実際に手に取れるようにご配慮をいただき、
皆さんがとても熱心に読んでいた様子、
そして住まいの絵本を素敵な笑顔でお話しされる北浦先生のお姿も印象的で心に残る講習会となりました。

集合写真.JPG

posted by afa at 00:00| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月01日

第29回全国女性建築士連絡協議会(東京)に参加して     織田喜代美

令和元年7月13日・14日、公益社団法人日本建築士会連合会女性委員会による
「第29回全国女性建築士連絡協議会(東京)」が日本建築学会建築会館ホールにて行われました。
全国の女性建築士の240人ほどの方々が参加し、愛知県からは7名参加しました。

集合写真.JPG

 令和初の協議会は「未来へつなぐ居住環境づくり」−和の伝統技術の継承と創造―と題し、
地域の環境に適した伝統的な美しい日本の住まいのあり様を次世代に引き継ぐという内容で、
1日目の基調講演は、有限会社原田左官工業所 代表取締役 原田宗亮氏による
「和の伝統技術の継承と創造〜新たなプロの育て方〜」の講演を聞きました。

 伝統的な左官技術を伝えながらも今までにない発想を取り入れられ、
店舗での施工例を見せていただきました。
コーヒー豆を混ぜて店舗の壁面に世界地図を描いたり、
インスタ映えするコーナーを作ったりなど、大変斬新で参考になるものでした。
原田氏は、特に女性の左官業界の参加に力を入れており、
厳しい状況が続く建築業界を「女性の参入で業界を変える」ことをモットーに、
社内に女性専用休憩室や育児休暇制度を設け、
女性が働きやすい職場をつくることを目指し、
現在、社内には現場で働く女性が10名在籍し、
「女性ならではの感性を発揮している」とお話がありました。
その後、左官職人として原田氏の会社から独立されたmarumo工房金澤萌氏とのトークセッションがあり、
女性左官職人の日常(セメント袋は重くない?)についてお話いただきました。

2日目は分科会に分かれ、それぞれ興味のある、勉強したい分科会に参加しました。
私は、「高齢者と住まい」の分科会に参加し、岐阜県建築士会が「福祉まちづくり建築士」
の取り組みを紹介されました。
福祉まちづくり建築士という資格をつくり、岐阜県とタイアップして、
建築士自ら200カ所もの地域包括支援センターや福祉施設を廻ったというお話や、
「手すりの設置に建築士がいるとこんなに便利」といったお話を人形劇を使って映像にし、
YouTubeに載せるといった試みもしているようで、
岐阜建築士会の方々の団結力、行動力に感心しました。
岐阜建築士会の福祉まちづくり建築士紹介YouTube人形劇.jpg

 また、他県でも同様な取り組みがあることが意見交換の中で分かりました。
いずれも県市町村とタイアップすることが周知を促すのではないかと感じました。
他県のように、建築士会のまちづくり委員会福祉部会と女性委員会が協力して、
良い成果が得られている事例は参考になりました。

 閉会後は、愛知県から参加した方々と御座船安宅丸という船で東京湾クルーズをしました。
船から東京オリンピックの選手村や豊洲市場を見ました。
この後、個人的にコレド室町を訪れました。
東京オリンピックに向けてなのか「和」を全面的に押し出したデザインが目立ちます。

御座船_和のデザイン.jpg

 次回開催地は福岡!オリンピック直前の開催です。
次回に向けて、九州全域のバックアップのもと、
とても熱の入ったプレゼンがありました。
今から次回協議会がとても楽しみです。


posted by afa at 00:00| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月03日

重要文化財「旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎」 (名古屋市市政資料館)見学とオリエンテーション・委員会報告        大坪一子

年号が「平成」から「令和」に変わろうとしている4月27日、
女性委員会のオリエンテーション、委員会が名古屋市市政資料館で開催された。
私自身の「平成」は子育て、職場復帰、個人の設計事務所の設立など、大変重要な時期であった。
最近では地元の耐震診断や課題検討委員、文化財保護委員の活動、町並み調査など仕事の範囲を広げている。

あいちヘリテージマネージャーとして改めて名古屋市市政資料館見学はとても楽しみにして来た。
21名の参加があり、案内、解説は川口亜稀子氏が担当してくださった。
強風だが快晴の天候の中、現地では美男、美女の結婚式がとりおこなわれていた。

建物の沿革としては近代司法制度が明治23(1890)年に裁判所構成法、民事訴訟法、刑事訴訟法が公布されることで確立。
当時、名古屋では控訴院、地方裁判所、区裁判所が別々に設置されていたが、
この三庁舎を一ヶ所に集めることとなり、名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎として大正11(1922)年9月竣工した。
設計監督は司法省の営繕課の司法技師 金刺森太郎が主任として工事担当した。
控訴院建築は全国八か所に造られたが現存する最古の庁舎であるそうだ。

昭和54(1979)年、中区三の丸一丁目の新庁舎に移転するまでの60年の歴史を積み重ねた。
その後の建物保存・修復を経て昭和59(1984)年5月21日国の重要文化財に指定された。
重要文化財としての推挙は

@現存する最古の控訴院建築であること

A煉瓦造りとしては最後の大規模な近代建築であること。建物は正面中央にドーム屋根の塔屋(先端高さ28.18m)を設けた3階建で赤い煉瓦壁と白い花崗岩の色調対比が美しい。建築面積2,327.33u延床面積6,719.9u 

B外観・中央階段室・三階会議室は19世紀のネオバロック様式を今日に伝える優れた意匠となっていること 

Cステンドグラスや漆喰塗り、マーブル塗りなど高度な技術が残されていること(中央階段室の両脇にある黒い柱の下半分は大理石、上半分は黒漆喰塗りの上に大理石に似せたマーブル塗り) 

D壁を煉瓦で積み、梁・床・階段などは鉄筋コンクリートを併用している構造が近代建築技法の変遷を示している。屋根の小屋組みは木造である。

構造補強工事は地震に対して強度を増すために煉瓦壁の頭の部分を鉄骨で補強する工事が行われた。
実は壁躯体の煉瓦を積み上げた頂部には臥梁がなく小屋裏まで積み上げられていたためである。
二・三階スラブは鉄筋コンクリートを煉瓦壁に単純支持させており、
スラブ・梁端部は煉瓦壁に約6cm程欠き込んで止めているにすぎない。
補強は控壁・耐震壁の新設である。見どころの中央階段室の天井のステンドグラスは日輪を素材にして公明正大な裁判を表現し、正面には罪と罰が釣り合うことを意味する天秤をモチーフにしたステンドグラスなどがあり、歴史や文化を肌で感じることができた。

中央階段室 .jpg

午後は会議室で平成30年度活動報告、平成31年度委員、組織表、活動計画を協議した。
新アドバイザー5名を迎え、23名の出席で新しい年度に向けての方針などを話し合った。
女性委員としての役割を再確認し、社会のニーズや変化を敏感に捉え、
継続的な活動や自由な発想で仲間と共に地域貢献できればと考える。

名古屋市市政資料館見学会.jpg

posted by afa at 13:37| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月03日

【活動報告】東海北陸ブロック会女性建築士協議会平成30年度後期定例(三重)会議に参加して 深見清佳

 2月23日(土)・24日(日)に、建築士会東海北陸ブロック会女性建築士協議会平成30年度ブロック亀山大会が盛大に開催されました。愛知からは、6名参加しました。

写真 2019-03-19 16 58 58.jpg

 『まちなみ・保存と活用〜三つの「繋がり」が重なる三重〜』というテーマのもと、
1日目の見学会・分科会では東海道五十三次の47番目の宿場町として栄えた関宿と、
その関宿をイメージして山に向かって緩やかな弧を描いた校舎の亀山市立関中学校の見学をしました。


その後の分科会では、NPO法人亀山文化資産研究会会長中浦豊子氏の講演を聴きました。
地域の皆さんにとっては身近な存在である亀山の歴史的・文化的資産が価値あるものだと気付いたところから、
まずその資産を守るためにはどうするのか。
その後、どのような形で活かしていくのかという、とても貴重で興味深い講演内容でした。

 2日目は会場を亀山市文化会館に移して、平成30年度後期定例(三重)会議を行いました。
活動報告では、福井、愛知、岐阜、石川、富山、三重の順番で各県の特色ある活動内容を聴き、
委員会活動が地域に根付いてきていることを実感しました。
そして今後も各県が切磋琢磨の精神で、より活発な活動を誓い合い、終了するという本当に有意義な会議となりました。

 ブロック会終了後は、愛知から参加した6人全員で桑名にある「日本近代建築の父」と呼ばれた、
ジョサイア・コンドル氏が手掛けたことでも有名な、地方に唯一残る作品の六華苑(旧諸戸清六邸)への寄り道をして、
素敵な明治期の建築に触れる良い機会となりました。

 今後の予定では、来年度前期ブロック会は福井県、後期ブロック会は愛知県での開催です。
来年度も今年度同様に、会議や見学会を通して各県の女性建築士達がより多くの意見交換をすることで
意識も活動も更に向上し、また、東海北陸ブロック会女性建築士協議会も益々盛り上がることを期待します。
posted by afa at 13:05| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする