2019年09月01日

第29回全国女性建築士連絡協議会(東京)に参加して     織田喜代美

令和元年7月13日・14日、公益社団法人日本建築士会連合会女性委員会による
「第29回全国女性建築士連絡協議会(東京)」が日本建築学会建築会館ホールにて行われました。
全国の女性建築士の240人ほどの方々が参加し、愛知県からは7名参加しました。

集合写真.JPG

 令和初の協議会は「未来へつなぐ居住環境づくり」−和の伝統技術の継承と創造―と題し、
地域の環境に適した伝統的な美しい日本の住まいのあり様を次世代に引き継ぐという内容で、
1日目の基調講演は、有限会社原田左官工業所 代表取締役 原田宗亮氏による
「和の伝統技術の継承と創造〜新たなプロの育て方〜」の講演を聞きました。

 伝統的な左官技術を伝えながらも今までにない発想を取り入れられ、
店舗での施工例を見せていただきました。
コーヒー豆を混ぜて店舗の壁面に世界地図を描いたり、
インスタ映えするコーナーを作ったりなど、大変斬新で参考になるものでした。
原田氏は、特に女性の左官業界の参加に力を入れており、
厳しい状況が続く建築業界を「女性の参入で業界を変える」ことをモットーに、
社内に女性専用休憩室や育児休暇制度を設け、
女性が働きやすい職場をつくることを目指し、
現在、社内には現場で働く女性が10名在籍し、
「女性ならではの感性を発揮している」とお話がありました。
その後、左官職人として原田氏の会社から独立されたmarumo工房金澤萌氏とのトークセッションがあり、
女性左官職人の日常(セメント袋は重くない?)についてお話いただきました。

2日目は分科会に分かれ、それぞれ興味のある、勉強したい分科会に参加しました。
私は、「高齢者と住まい」の分科会に参加し、岐阜県建築士会が「福祉まちづくり建築士」
の取り組みを紹介されました。
福祉まちづくり建築士という資格をつくり、岐阜県とタイアップして、
建築士自ら200カ所もの地域包括支援センターや福祉施設を廻ったというお話や、
「手すりの設置に建築士がいるとこんなに便利」といったお話を人形劇を使って映像にし、
YouTubeに載せるといった試みもしているようで、
岐阜建築士会の方々の団結力、行動力に感心しました。
岐阜建築士会の福祉まちづくり建築士紹介YouTube人形劇.jpg

 また、他県でも同様な取り組みがあることが意見交換の中で分かりました。
いずれも県市町村とタイアップすることが周知を促すのではないかと感じました。
他県のように、建築士会のまちづくり委員会福祉部会と女性委員会が協力して、
良い成果が得られている事例は参考になりました。

 閉会後は、愛知県から参加した方々と御座船安宅丸という船で東京湾クルーズをしました。
船から東京オリンピックの選手村や豊洲市場を見ました。
この後、個人的にコレド室町を訪れました。
東京オリンピックに向けてなのか「和」を全面的に押し出したデザインが目立ちます。

御座船_和のデザイン.jpg

 次回開催地は福岡!オリンピック直前の開催です。
次回に向けて、九州全域のバックアップのもと、
とても熱の入ったプレゼンがありました。
今から次回協議会がとても楽しみです。


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2019年07月03日

重要文化財「旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎」 (名古屋市市政資料館)見学とオリエンテーション・委員会報告        大坪一子

年号が「平成」から「令和」に変わろうとしている4月27日、
女性委員会のオリエンテーション、委員会が名古屋市市政資料館で開催された。
私自身の「平成」は子育て、職場復帰、個人の設計事務所の設立など、大変重要な時期であった。
最近では地元の耐震診断や課題検討委員、文化財保護委員の活動、町並み調査など仕事の範囲を広げている。

あいちヘリテージマネージャーとして改めて名古屋市市政資料館見学はとても楽しみにして来た。
21名の参加があり、案内、解説は川口亜稀子氏が担当してくださった。
強風だが快晴の天候の中、現地では美男、美女の結婚式がとりおこなわれていた。

建物の沿革としては近代司法制度が明治23(1890)年に裁判所構成法、民事訴訟法、刑事訴訟法が公布されることで確立。
当時、名古屋では控訴院、地方裁判所、区裁判所が別々に設置されていたが、
この三庁舎を一ヶ所に集めることとなり、名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎として大正11(1922)年9月竣工した。
設計監督は司法省の営繕課の司法技師 金刺森太郎が主任として工事担当した。
控訴院建築は全国八か所に造られたが現存する最古の庁舎であるそうだ。

昭和54(1979)年、中区三の丸一丁目の新庁舎に移転するまでの60年の歴史を積み重ねた。
その後の建物保存・修復を経て昭和59(1984)年5月21日国の重要文化財に指定された。
重要文化財としての推挙は

@現存する最古の控訴院建築であること

A煉瓦造りとしては最後の大規模な近代建築であること。建物は正面中央にドーム屋根の塔屋(先端高さ28.18m)を設けた3階建で赤い煉瓦壁と白い花崗岩の色調対比が美しい。建築面積2,327.33u延床面積6,719.9u 

B外観・中央階段室・三階会議室は19世紀のネオバロック様式を今日に伝える優れた意匠となっていること 

Cステンドグラスや漆喰塗り、マーブル塗りなど高度な技術が残されていること(中央階段室の両脇にある黒い柱の下半分は大理石、上半分は黒漆喰塗りの上に大理石に似せたマーブル塗り) 

D壁を煉瓦で積み、梁・床・階段などは鉄筋コンクリートを併用している構造が近代建築技法の変遷を示している。屋根の小屋組みは木造である。

構造補強工事は地震に対して強度を増すために煉瓦壁の頭の部分を鉄骨で補強する工事が行われた。
実は壁躯体の煉瓦を積み上げた頂部には臥梁がなく小屋裏まで積み上げられていたためである。
二・三階スラブは鉄筋コンクリートを煉瓦壁に単純支持させており、
スラブ・梁端部は煉瓦壁に約6cm程欠き込んで止めているにすぎない。
補強は控壁・耐震壁の新設である。見どころの中央階段室の天井のステンドグラスは日輪を素材にして公明正大な裁判を表現し、正面には罪と罰が釣り合うことを意味する天秤をモチーフにしたステンドグラスなどがあり、歴史や文化を肌で感じることができた。

中央階段室 .jpg

午後は会議室で平成30年度活動報告、平成31年度委員、組織表、活動計画を協議した。
新アドバイザー5名を迎え、23名の出席で新しい年度に向けての方針などを話し合った。
女性委員としての役割を再確認し、社会のニーズや変化を敏感に捉え、
継続的な活動や自由な発想で仲間と共に地域貢献できればと考える。

名古屋市市政資料館見学会.jpg

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2019年05月03日

【活動報告】東海北陸ブロック会女性建築士協議会平成30年度後期定例(三重)会議に参加して 深見清佳

 2月23日(土)・24日(日)に、建築士会東海北陸ブロック会女性建築士協議会平成30年度ブロック亀山大会が盛大に開催されました。愛知からは、6名参加しました。

写真 2019-03-19 16 58 58.jpg

 『まちなみ・保存と活用〜三つの「繋がり」が重なる三重〜』というテーマのもと、
1日目の見学会・分科会では東海道五十三次の47番目の宿場町として栄えた関宿と、
その関宿をイメージして山に向かって緩やかな弧を描いた校舎の亀山市立関中学校の見学をしました。


その後の分科会では、NPO法人亀山文化資産研究会会長中浦豊子氏の講演を聴きました。
地域の皆さんにとっては身近な存在である亀山の歴史的・文化的資産が価値あるものだと気付いたところから、
まずその資産を守るためにはどうするのか。
その後、どのような形で活かしていくのかという、とても貴重で興味深い講演内容でした。

 2日目は会場を亀山市文化会館に移して、平成30年度後期定例(三重)会議を行いました。
活動報告では、福井、愛知、岐阜、石川、富山、三重の順番で各県の特色ある活動内容を聴き、
委員会活動が地域に根付いてきていることを実感しました。
そして今後も各県が切磋琢磨の精神で、より活発な活動を誓い合い、終了するという本当に有意義な会議となりました。

 ブロック会終了後は、愛知から参加した6人全員で桑名にある「日本近代建築の父」と呼ばれた、
ジョサイア・コンドル氏が手掛けたことでも有名な、地方に唯一残る作品の六華苑(旧諸戸清六邸)への寄り道をして、
素敵な明治期の建築に触れる良い機会となりました。

 今後の予定では、来年度前期ブロック会は福井県、後期ブロック会は愛知県での開催です。
来年度も今年度同様に、会議や見学会を通して各県の女性建築士達がより多くの意見交換をすることで
意識も活動も更に向上し、また、東海北陸ブロック会女性建築士協議会も益々盛り上がることを期待します。
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2019年04月01日

【活動報告】「第28回わたしらしい住まいづくり」の報告            竹中 美智子

「わたしらしい住まいづくり」も今年で28回目となりました。
 今年は、不便益の研究をされている川上浩司氏のセミナーのほか、
木のおもちゃ作家三輪義信氏を迎えて住まいの絵本読み聞かせ会やすまいの相談会など盛りだくさんの企画で開催されました。
 1月19日(土)午前11時からは、女性建築士による「ちいさいおうち(バージニア・リー・バートン文・絵 石井桃子訳 岩波出版)」の読み聞かせが行われました。
都市化により自然環境が失われるという、
住まいにおける環境の大切さを考えさせられる物語なのですが、
三輪義信氏の木のおもちゃがストーリーにあわせて登場するので、
参加した子どもたちの興味はより深くなっていきました。
最後にちいさいおうちが田舎に曳家されるときは、
大きく頷く大人たちもいたほどです。

わたすま読み聞かせ2.jpg わたすま読み聞かせ.jpg

 午後からは、京都大学デザイン学ユニット特任教授の川上浩司氏をお招きし、
「不便益なモノゴトのデザイン」という講演が行われました。
世の中の自動化が進み、ITやロボットに人間の仕事が変わっていくこと、
便利になることによる弊害(例:車が自動運転になったら運転手から監視員という役割に変わっていくので、
単に安全確認だけをしたらよいという職業ではモチベーションが下がってしまうだろう)が起こる。
身についたことは忘れない(例:昔は家族や恋人の電話番号を暗記していた)など、
不便益なことをすると
「発見できる」「上達できる」
「俺だけ感がある」「安心できる」
「(不便を解決しようと)工夫・発見できる」
などの有益なことがあるという、
手をかけ頭を使うことの意義を教えてもらいました。
建築の中では、すべてを便利なものにしてしまうのではなく、
不便益なものをうまく組み合わせることがよいという提案は、参考になりました。

わたすま講義2.jpg わたすま講義.jpg


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2019年03月05日

【活動報告】 「すぐに役立つパーステクニック」講習会の報告        吉本由紀

平成30年12月9日(日)14:00〜16:30
 18名の男女問わず幅広い年齢層の参加者でした。
委員長の池田さんより、
女性委員会では数多くのセミナーや講習会を開催しておりますが、
今回の実践的な講習会をやっと開催することができました、
とお話がありました。
 講師の酒井ゆり菜先生は、KEY事務所に勤務し、
手描き・CGパース制作を主な業務とし、社内で水彩スケッチワークショップの講師も務めていらっしゃいます。
今回の講習会では、打ち合わせにおいて鉛筆一本で描ける住宅の内観パースを仕上げることを目指して教えていただきました。

 まずは、作図の基本的なポイントとして
・構図として見せたいところ、どの角度から見るのかを決めます。
真正面より少し振ったほうがかっこよくなりますが、安定感、重厚感を出す場合は正面がよい。
・一点透視でVP(バニシングポイント)とHL(ホリゾンライン)を決めます。
・角が離れないように線を交差させ、水平、垂直の線は重ならないように、
どちらかといえば少し離れ気味がよい。

次に、実際に部屋を描いてみます。
・モジュールは910でも900もパースではわからないので、計算しやすい900で作図します。
部屋の間口と天井高さを取り、縦、横に分割し、画面を作ります。
奥行きはだいたい900をとり各グリットを結びます。
椅子に座った高さ1200位をHLとし4つの角をVPと結ぶ。
・縦横グリットとVPを結んだラインを利用して壁の凹凸、開口部を描く。
・グリッドを利用して家具を描く。HLを基準に高さを割り出し、
丸みのあるものや複雑な形のものでも、まずは四角いボリュームで描く。
・食物や小物、素材の表現を入れる。
陰影をつけることで物がよりわかりやすくなる。
影が濃いと明るいところが強調され、パースに奥行き感が出ます。
最後に仕上げの厚みを描き、さらに影を入れ、材質感を出して全体的に仕上げていきます。


 2時間半で仕上げるには時間が足りませんでしたが、
一通りのテクニックを取得することができました。
CGのパースでプレゼンが主流の中、参加された方はあえて手描きを学びたいと思われてのことと思いますが、
お客様の前で手描きでさっと描ければ、表現したいことが伝わり、
打ち合わせもスムーズに進むのではないでしょうか。
手描きは何と言っても手の温もりと味わいがあります。
 最後に酒井先生より、
とにかくどんどん描くことで上達します、
とのコメントをいただき、さっそく実践してみようと思いました。

パース講習.JPG
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