2022年05月01日

令和3年度 女性委員会見学研修の報告 豊田支部女性委員会 芳形志保

令和3年度の見学研修は、犬山市にある博物館明治村である。
学生時代から何度となく訪れてはいるものの、
今回は近代和風建築の住宅である作品に入り込み、
主人や職人のこだわり、風情や佇まいを味わう研修となった。

 Part1座学編は11月12日、中川武氏(博物館明治村館長・早稲田大学名誉教授)の講義である。
新型コロナウイルス感染の予防対策として、zoomのオンライン配信(参加者31名)で拝聴した。
紹介された建物の中で印象に残った2点について、記述したい。
 まず一つは、飛鳥様式の法隆寺である。
五重塔の上部が天上へとすぼまっていくかたちや、
金堂の深い軒下に雲形肘木が生駒山にかかる雲に呼応させる様は、
法隆寺がもつ役割である「遠くから人々に訴えかける建築」そのものである。
もう一つは、江戸中期の京都の角屋(すみや)である。
畳と和紙の規格がモジュールとして制約を与えることにより、
揚屋的な趣向を凝らしたデザインが自由に展開されている。
非常に斬新で自由な明障子の桟も和紙の幅を基準にしたゆえに出た産物。
これらの建物は、時代や思想といったものが大きく寄与して変遷しているということが強く心に残った。

 Part2実地編は11月25日、博物館明治村において、
近代和風建築として秀でた2作品「東松家住宅」と「西園寺公望別邸坐漁荘」を見学した。
参加者22名を、1班、2班と半分に分け、見学場所をずらす配慮がされていた。
明治村文化財修理技術者がガイドとして同行し、
改修の際にみられた職人のこだわりについての話も興味深かった。
 私たちの班は、まず「東松家(とうまつけ)住宅」を見学した。
もとは運河堀川沿いにあった商家を移築したものである。
江戸末期に平屋であったものを明治に2階部、3階部を増築した建物である。
2、3階は生活の場でありながら、渡り廊下を茶室までの露地に見立てるなど、
客人を喜ばせる仕掛けをふんだんに取り込んでいる。
増築の配慮として、通り土間の吹き抜けに高窓をつけたことにより1階部まで光を取り込んでいる。
増床する際に見落としがちな、光や風の通り抜けにまで配慮を欠かない造作であった。

A班東松家住宅IMG_2713.jpg

 次に「坐漁荘(ざぎょそう)」を見学した。
明治の政治家である西園寺公望が政界引退後に晩年の多くの時間を過ごした静岡県興津にあった別邸である。
2階の座敷からの眺めは興津の海の見立てに入鹿池を借景として取り入れ、
波光のきらめきを体感できる。
また、素材が持つ自然の形を住まいに取り入れる数寄屋造りを代表する建物である。
主人が好んだ竹の欄間の精密な造作をはじめ、優れた職人技が凝縮された作品である。
玄関の東面の襖には杉皮を紙表に模様として施してあるなど、
部屋ごとに違いを見せる襖紙へのこだわりに感心した。
意匠だけでなく、革新的な構造補強として海沿いの強風に耐えるべく主屋小屋組における交差梁を使用するなど、
建物の構造にも注意深さが慮れる。


B班坐漁荘IMG_1030159.JPG


 コロナ禍が続く中、外に向けての活動をついつい規制しがちな状況が続いている。
反面、リモート会議などを利用して、講習に気軽に参加しやすくなり、
出不精の私にとって、一歩を踏み出しやすくなったのには不思議な状況である。
リアルに飛び出たからこそ、参加者からもれだす建築の蘊蓄を聞きながら、
普請道楽の作品の中にひたることができた良い経験となった。



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2022年02月22日

【活動報告】すまいのえほんワークショップ         河合ふみこ

 一昨年、図書館で開催したワークショップ。
大きな紙を地図にして好きな場所に折り紙で折ったおうちを建てたり、
絵を描いたりしてみんなで一緒に楽しくできました。
その様子を聞いて保護者会の方が昨年度保育園に呼んでくださったのですが、
コロナで泣く泣く中止に。
今年度は感染対策を考え、みんなで一緒につくらず、一人一人がつくるワークショップを考えて実施することにし,
委員10名で準備してきました。
今年も一度延期になり、やっとの思いで11月17日に5名で保育園へ
「すまいのえほんワークショップ」に行ってきました。

 年少さん30名、年中さん32名には絵本の読み聞かせのみを行いました。
年長さん30名をふたつのグループに分け、絵本の読み聞かせとワークショップを行いました。
私はそのうちのひとグループを担当しました。


 年長さんにはまず絵本2冊を読みました。
最初に読んだのがかこさとしさんの「あなたのいえわたしのいえ」です。
わかりやすく家の必要性や役割などを伝えてくれます。
かこさんの本は本当に子供受けがいいです。
次に読んだのが、「ブターラとクマーラ ベッタベタ」です。
こちらは部屋の色や模様に不満がある動物たちの家をブターラとクマーラのペンキ屋さんが
ベッタベタとみんなの希望の部屋に塗り替えていくお話です。
みんなよく聞いてくれて楽しく読むことが出来ました。

 この絵本をもとにワークショップを展開していきます。
ブターラとクマーラになったつもりで画用紙に好きな模様を描いてもらい、
家形に折って、扉を切り開けると中には好みの模様のお部屋ができます。
紙全体に模様を描いてもらうのをうまく説明するのが難しかったです。
外側も折り紙やマスキングテープを貼ったりして好みの家に作り上げていきます。
なかなかの力作でとても楽しいおうちがたくさんできました。
字を模様にした子、折り紙を小さく四角に切ってタイルのように貼る子、
いろいろな発想でそれぞれ素敵なおうちになりました。


 この日私たちが帰った後、保育園ではおうちづくりをしている子が何人もいたそうです。
そして、後日保育園からかわいいお礼の手紙を頂き楽しかったという感想を頂きました。
自分がどんな家や空間が好きなのか感じてもらえたらうれしいです。
来年度も「すまいのえほんワークショップ」をやります。
いろいろな子と出会ってよりよいワークショップにしていきたいと思います。

園児お礼のおてがみ.jpg 園児からのお礼のお手紙


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2022年01月30日

令和3年度「空き家の活用講習会」の報告  織田喜代美

 令和3年10月22日に行われました令和3年度の女性委員会の講習会は、
昨年に引き続き「空き家対策」をテーマに金城学院大学教授の加藤悠介先生をお迎えして
「空き家の活用講習会」を行いました。
学生や県外からの参加者も含め32名の参加がありました。

 加藤悠介先生は建築計画をご専門にし、
その中でも10年ほど前からは空き家の福祉転用を研究、計画されています。
今回は著書『福祉転用による建築・地域のリノベーション』をもとに、
福祉転用とは単純に建物を転用するというだけでなく、
その後地域でどのように影響を与えるのか、
まちづくりにどのように接続していくのかをお話しいただきました。

 現在、既存建物は一用途、一建物、一寿命が前提で計画されており、
福祉転用に際しては複雑な連携(福祉事業者・設計士・所有者・地域住民など)が必要で、
法的規制をはじめ様々な障害を乗り越えて実現されています。

 空き家数の増加により、「つくる時代」から「つかう時代」へ意識が変化し、
リノベーションやDIYなどの言葉も多く使われるようになりました。

・1990年代に集団ケアの時代から地域に住み続けられるように様々な福祉実践(宅老所)が行われる。

・2000年介護保険制度や障害者自立支援法の施行により介護の多様化による民家改修型施設の普及が始まる。

・2006年地域包括ケアシステムの導入により「ケアが必要になっても地域で暮らし続ける」ための環境の整備が行われる。

・2010年代地域包括ケアシステムが進んでいき様々な人への住宅確保と居住支援が進むと、
 共生できる社会が重視され、コミュニケーションの見直しが重要になってくる。
 みんなの場・子供食堂・コミュニティカフェづくりが始まる。
(みんなの場は行政から言われて動くのではなく、地域の人が中心に地域に対して何ができるのかを考えて作り出していくもの。)

 という、福祉を取り巻く環境の変化を勉強しました。
 そして、「福祉転用でみんなの場をつくるための心構え」として

1 .「福祉」を再定義する。
福祉の対象を困っている人、弱者のためだけでなく、みんなのためとして共有資源をつくる。

2.創意工夫して空間をつくる。
用途以外の創意工夫ができるような余裕を持った計画をする。インテリアにコストをかける。

3.地域を経営する。
過度に行政に頼らないで、自分たちで町をつくることが持続するまちづくりを実現する。

4.ケアがある日常風景をつくる。
みんなの場の実例をもとにそれぞれ詳しく分かりやすい説明がありました。

 高齢化率29%、65歳以上の7人に1人が認知症の社会の中、
老老介護や介護疲れや孤独死といった暗いニュースが多くあります。
しかし、今回加藤先生のお話を聞き、すべての人が共存できる、
これからのまちづくりが「みんなの力」で実現しつつあるのだと実感しました。

 どの実例も楽しく夢のある空間で、そのような居場所が地域に根付けば、
社会的弱者も明るく楽しく暮らすことができると思いました。

R3空き家講習会 写真修正.png
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2021年11月20日

【活動報告】令和3年度第30回 全国女性建築士連絡協議会 福岡大会に参加して  梅田知奈

 令和3年9月25日、公益社団法人日本建築士会連合会女性委員会による証明写真(梅田知奈).jpg
「第30回全国女性建築士連絡協議会福岡大会」が開催されました。
昨年はコロナ禍により開催が中止となりましたが、
なかなか収束の兆しがみえない中、今年は全建女初のオンラインにて開催されることとなりました。

愛知県からは8名が参加しました。
今年のテーマは、
「未来へつなぐ居住環境づくり〜建築空間を支える木の文化木挽棟梁のモノサシ〜」。
例年は2日間に分けて行われている全建女ですが、今年は1日がかりでの開催となりました。
午前中に分科会、午後から開会式・被災地報告・基調講演・全体会と、
例年とは違うプログラム構成で行われました。

 午前中の分科会では、私は第4分科会に参加させていただきました。
前半は「森林で自立する村づくりと熊本復興支援」、後半は「空き家見えるカルテ」がテーマでした。

 分科会前半では、熊本県南部に位置する五木村という小さな村での活動について、
お話を伺いました。総面積の94%が森林に覆われている五木村の森林資源を村づくりに活用することで、地域活性化と所得向上を促していくという明確なビジョンのもとに活動されている事例です。
人・自然・地域のすべてがごきげんになる世界を作りたいという想いで誕生した、
五木村の木を利用した“五木源(ごきげん)住宅”の建築をされており、
熊本地震の際には復興支援にも携わられ、現在も精力的に活動を続けられています。
元々は地域振興からはじまった活動が、災害時の支援活動にうまく繋げることができたとのことでした。
活動をはじめられた当初から、建築関係者との横のつながりや地域とのつながりを積極的に構築されており、
そういったコミュニティ作りが災害時の迅速な支援活動に繋がっていったことからも、
私たち建築士が日頃から地域等と積極的につながりをもっていくことがいかに大切であるかを考えさせられました。

 分科会後半では、住宅インスペクションについてのお話を伺いました。
既存のインスペクションの劣化評価のみでは、建物の本当の資産価値は表示しにくいことから、
耐震性・省エネ性能・環境等のチェック項目を増やし、
安全や居住性も表示できるように作られたのが、
“ 空き家見えるカルテ”
だそうです。売主や買主にとって活用が難しい既存のインスペクションを、
見えるカルテでは視覚的に建物の性能を表示し、
見える化をすることで活用しやすいように工夫をされています。
建築を専門としていない一般の方にも容易に理解できるようなインスペクションが、
全国的に普及していくと良いなと思いました。

 午後からは開会式が行われ、はじめに被災地報告がありました。
東日本大震災で被害の大きかった福島県・宮城県の被災地報告では、
復興は進められているものの、震災から10年が経過した今でもまだまだ多くの課題が残っており、
被害の甚大さを改めて感じさせられました。
長野県と千葉県からは2019年の台風による被害内容・復興状況の報告、
熊本県からは2020年の豪雨災害支援活動報告がありました。
近年は、災害発生が予測しにくい台風による被害や局地的豪雨も増えていますが、
水害による防災対策はまだまだ遅れているように思います。
地震だけでなく、火災や風水害等、災害には大変多くの種類があります。
起こりうる様々な災害に対しての防災・減災対策を日頃から行っていくことの重要性を、改めて強く感じました。

 被災地報告の後は、有限会社杉岡製材所代表取締役杉岡世邦氏による、
「建築空間を支える木の文化〜木挽棟梁のモノサシ」
の基調講演が行われました。
九州北部豪雨での流木被害について・森林の歴史について・建築に使用する木材について等、
非常に幅広いお話を伺うことができました。
木材についての様々な知識をしっかり持ち、建築に正しく使用できるかどうかで、
出来上がる建築物の質はかなり大きく変わります。
木造建築を設計する際は、杉岡氏のような木の職人と、私たち建築士が設計段階から協働し、
共に建物を作り上げることができたら大変素敵だと思います。
各分野の専門家が協働し、共に協力し合いながらより良い建築を作り上げていくというあり方が、
今後は一般的になっていくと良いなと感じました。

 今回はコロナ禍により参加者の皆さんと直接顔を合わせて交流することができず、
楽しみにしていた福岡に直接足を運ぶこともできませんでしたが、
連合会や九州の建築士会の方々のおかげで、オンラインでも大変充実した1日を過ごすことができました。
例年よりも参加者が4割程多かったとのことで、
どこからでも気軽に参加可能なオンラインだからこそ、
普段なかなか参加が難しかった方も参加できたというメリットがあったのではないかと思います。

オンラインの便利さを感じながらも、直接顔を合わせて交流できていたことの有難さも同時に感じた一日でした。
来年の開催地は東京です。また皆さんと直接お会いして交流できる日が戻ってくることを楽しみにしたいと思います。


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2021年09月01日

建築士会東海北陸ブロック会女性建築士協議会令和3年度前期定例会議 報告 近藤美夏

 6月26日(土)に東海北陸ブロック会女性建築士協議会令和3年度定例会議(前期三重会議)が開催されました。
全体で25名、愛知からは5名の参加がありました。
今回も新型コロナウイルス感染症の影響により、Zoomを用いたWeb会議で行なわれました。
愛知県の参加者は皆個々に自宅や事務所などから参加していましたが、
他県では県ごとに会場に集まって参加されているところもありました。
それぞれが県をまたぐことなく参加しやすい環境で集まれたことに意義があると思いました。

 運営委員は事前にメールにて資料を受け取り、
前半の報告事項・審議事項に関しては書面表決書・報告事項質疑書を 提出する形としたことによって時間が短くできるよう調整されていました。
書面表決ではありましたが、当日の画面を通しての挙手での再確認もあり、
会議の一体感も感じられました。
後半の協議事項に多くの時間を割くことができたので、各県の活動予定を参考にし、
今後の女性建築士協議会の運営に関わる話し合いをする良い機会となりました。
Web会議も3回目となり、実際に会って意見交換できないもどかしさがある反面、
全員の顔が一目で確認できたり資料をすぐに共有できる利点もあるという意見や、
これまで 移動に費やしていた時間や費用を他の活動に充てることができるという利点も大きいという意見も多く聞かれました。

 私はオブザーバーという立場で、ブロック会議とは何を話し合うのかあまり予備知識がなく新鮮な気持ちで参加しました。
東海北陸ブロックという単位で話し合いを重ねるということは、
近県の成功例や取り組まれている内容の多様性から学ぶことが多いと感じました。
また、全国組織である日本建築士会連合会や全国女性建築士連絡協議会(全建女)で長年深めている「防災」や「和の空間」などのテーマと、各県の女性委員会の活動を橋渡しする役目を果たしているような感じもしました。
毎年、各県が持ち回りで会議を開催したり、ブロック大会を開催したりするための企画や準備は、
特に担当される県にとっては負担となりますが、それに向けてブロック全体でサポートしたり調整したりする様子も今回の会議に参加して知ることができました。
数年後には石川県で全建女が開催される予定があるということで、
そのサポートもブロックとして協力することが確認されました。

 石川県で全建女が開催される頃には、新型コロナウイルスの治療薬が普及して安心してリアルに集まり、
顔を合わせての交流やすぐれた建築・伝統工芸を見学することができることを期待します。
それと同時に、感染症の影響がおさまっても併用でWeb会議の利便性を継続し、
多くの女性建築士が参加できるシステムになることも期待します。

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