2020年12月01日

令和2年度講習会1「空き家対策勉強会」の報告    谷村留都

今年度は建築士会に限らず、多くの行事は激変した。
地域のイベントも建築業界全体の行事も相次いで中止になるなか、
女性委員会では初の試みとしてオンライン講習会を9月15日に開催することになった。

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これまでも防災やまちづくりなど社会問題となっているテーマでの研修会を継続しているが、
今回は社会現象になっている空き家問題を取り上げた。
12月には不動産アドバイザーとして活躍中の吉田貴彦先生を講師に迎えての講習会を予定しているが、
その前哨戦として、不動産関連の仕事をしている女性委員会の近藤美夏さんを講師に、
空き家対策勉強会と称して空き家の現状を話してもらった。

 テレビ、新聞などの報道で全国の空き家は約840万戸といわれているが、
これは賃貸物件や売却物件の待機中のもの、別荘などすべてを含めた数値である。
住み手不在で空き家状態になっている家は空き家の分類の中では「その他住宅」と称され、
これは約340万戸である。
全国の県別の数値を見ると大都市周辺は低いが、
西日本中心に高い傾向がある。
「その他住宅」の中には利活用が困難な物件も多く、
改修したりして不動産市場に乗せられるものは全国で48万戸、
全体の15%である。
空き家ができる原因はさまざまであるが、
農村部では農地を切り売りして部分的に宅地化が進み、
また都市部では利用できない空き家が散らばり、
いずれの地域でも住宅の点在の仕方がスポンジ状になっている。
こういう状態ではインフラ整備も追いつかなくなり、
高齢化と合わせて今後さらに問題化する。

 国交省など国はさまざまなタイプの空き家に対して対策支援メニューを打ち出している。
空き家の再生や解体、空き家バンクの構築、住宅のセーフティネット制度、
建築基準法の一部改正、譲渡所得の特別控除等々10項目以上にも及ぶ制度の概要説明があった。
一度聞いただけでは理解できないので、
今回の講習を基に、心当たりがある施策をもう少しよく見ていこうと思う。

 最後の意見交換会では、高蔵寺ニュータウンの団地の改修事例があげられ、
思いがけない問い合わせが多かったという紹介や、
講師の近藤さんの身内所有空き家の活用例の紹介もあった。
これらを見るに、空き家の中には十分不動産市場で活用できるものもあるが、
多くは経済性というよりは人助け的な、
もったいないから使おうという事例のほうが多い。
住宅産業的には旨味のないケースであっても、
防災的なメリットや所得の厳しい人の助けになるというボランテイア的な要素もあり、
それらはお金に換算できない利活用ともいえる。
住宅の設計を生業としている我々は、設計した住宅がいずれ空き家になることも考えつつ、
汎用性のある、長く活用できる住宅の設計に関わりたいと思う。
posted by afa at 14:36| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする