2020年01月01日

防災セミナー2019の報告 「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」 近藤美夏

今年度も女性委員会では防災セミナ−を開催しました。
第9回となる今回は11月1日に愛知建築士会会議室にて名古屋大学・減災連携研究センター客員教授の武村雅之氏をお迎えして
「過去を知り未来に備える〜先人は災害をどう乗り越えてきたか〜」という内容でお話を伺いました。
参加者は30名でした。

※IMG_2871トリミング.jpg

1923年に起きた関東大震災を中心に、過去の災害を様々な側面から比較して、
災害によってなぜ被害が大きくなったのかを学びました。

例えば関東大震災の火災旋風で両国の陸軍被服廠跡地に集まった3万8千人が焼死したという惨事についても、
最大の原因は火災旋風そのものではなく、
2万坪の敷地にぎっちりと詰め込まれた家財道具が火災の延焼を促進したという調査結果には考えさせられました。
江戸時代には家財道具と延焼の因果関係が広く知られ家財の持ち出しは掟で厳禁だったことや、
家財道具を強制的に破棄して通過させた隅田川の橋では多くの人が助かったというエピソードと比較しよく理解できました。
大八車が自動車に代わった現代では災害のたびに大渋滞が起こります。
ガソリン車が木造密集地を通過することについての危険性を考えるとき、
過去の災害から学ぶことが大切だと思いました。

災害の際に被害が甚大となる地域は元々低湿地だったり埋め立て地であったりすることが多いのですが、
干拓や埋め立て、堤防工事などの科学技術により土地利用が進んでいます。
政治的経済的要因の蓄積ではありますが、別の表現で言えば人間の欲望のためです。
科学技術に対する過度な期待と妄信はそろそろやめましょうと提言されていました。
科学技術が進歩すればするほど、自然破壊が大きくなるということです。
大規模な防潮堤や排水設備は維持にも巨額が投じられており、ひとたび災害で破壊損傷すれば、
もはや負の遺産となり復興を阻害します。
あえて土地の利用を制限する、科学技術は道具だと割り切って考えて適度に使う、
壊れても復興しやすい構造や規模にとどめるなど、
人口減少の日本において次の世代に負の遺産を残さないことを真剣に考えるのが現代の「防災」といえるかもしれません。

「防災セミナー」ではありますが、人間は予測が苦手なので災害を「防ぐ」ことは無理で、
ある程度の被害は覚悟しなければならないことを学びました。
できることは被害をなるべく小さくするように対策をすること。
被害を小さくするという点において建築基準法の果たしてきた役割は大きいということも改めて認識しました。
人間の得意なことは苦難を乗り越えること、
そしてお互いに助け合って復興することであるという数多くの実例にも感銘を受けました。

※IMG_9717トリミング.jpg

posted by afa at 00:00| 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする